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Aさんは、プレゼントをするためにお金をためると言いました。家のお手伝いをしてお金をためようと思っていたようです。これは絶対にいけません。だって、Aさんは、家族という船の乗組員の一人だからです。
家族にとって子供は「客」ではありません。家族というグループの中の立派なメンバーの一人です。ですから、家族のための仕事を持っていて当然です。家族に必要な「お手伝い」をしたからといって、ことさらほめる必要はありません。まして、その報酬を与えるなど、とんでもないことです。
「ほめるな」というと、冷たいと思われるかと思いますが、これは、ほめる場所を間違えないでほしいということです。
子供のお手伝いは、年齢を経る毎に進歩していきます。最初、お母さんと一緒に行って、荷物の半分を持つというお手伝いが、お母さんの書いてくれたメモを持って一人で買ってくるという「おつかい」に進歩します。
やがて、献立を指示するだけで、材料を選んで買ってくることができるようになります。こんなふうに進歩したときは、これ以上ないくらいの暖かさでほめてやりたいと思います。
おふろの掃除がいつもより3分早く上手にできた。洗濯物を取り入れて、ハンカチしかたためなかったのに、初めてシャツがたためた。買い物の品物の中で、一つだけだけれど、安くていいものを選んで買ってきた。
こんなほんの少しのことでいいのです。子供ががんばった、進歩したというときは、心からほめてやりたいものです。しかし、手伝いをしたということそのものは、当たり前のことなのでほめる必要はありません。
学校でも、子供は「客」ではありません。友達と協力しあって生きていく学級や学校の「乗組員」の一人なのです。(学校のお客様は、自分の稼いだお金で税金を払っていらっしゃるお父さんやお母さんです。)子供たちを見ていると、立派な「乗組員」もいますが、「客」もたくさんいます。
「乗組員」の子供たちは、自分の身の回りをきちんとすることはもちろん、友達のことにもよく気が付いて、大変やさしい人間に見えます。1年生の相手をしている子たちを見ると、本当に感動します。
「客」の子供たちは、友達の役に立たないばかりか、友達に世話になるばかりです。印象としては、非常に身勝手で冷たい人間に見えます。暖かな気持ちを持っていても、「乗組員」としての経験が足りなくて、どうしていいのかわからないのかもしれません。
船長さん、副船長さん。お子さんは、家で、立派な「乗組員」の役を担っていますか。