家族(2)
 

資格

                
 1年生から4年生まで、お誕生日は、プレゼントをもらって祝ってもらうものだと思っていました。

 5年生の時、お誕生日は、産んで育ててくれたお父さんやお母さんに感謝する日だと知って、少し悩みました。でも、プレゼントとして買ってほしい物はこれからも増えるだろうし、友達もみんないろいろ買ってもらっているのだから、このままでもいいかな、と思いました。

 昨日、勤労感謝の日ということで、母の代わりに、夕飯を姉と一緒に作りました。簡単なメニューでしたが、すごく大変でした。時々手伝ったりしたことはあるけど、今日は全部自分たちだけでやったので、本当に疲れました。

 母や父は、仕事をした後にもかかわらず、食事などの支度をしてくれるばかりか、学校での楽しいこと、悲しいことを一杯聞いてくれて、
「それは、あなたが謝った方がいいんじゃない?」
と、相談に乗ってくれます。はっきりと答えてくれる一言は、わたしが良くなるために、すごく役だっています。

 今、生きているのは、母が何時間も苦しんでくれたおかげ。今、幸せなのも、父や母が毎日働いてくれるおかげ。自分の人生、これからも父や母のおかげで幸せでいられます。

 いつも、わたしたちの幸せを一番に考えてくれている母や父に、今度は、わたしがお金とかでは返せない感謝の気持ちを、今からいろいろな形で表しながら、父や母の幸せを一番に考えていきたいです。
                

 A子さんの他にB君も家で、家族の食事を作ってみて、お母さんの偉大さがわかったようです。勤労感謝の日というのは、いつも働いているお父さんやお母さんをねぎらう日だと話して、3連休を迎えました。お子さんは、どんなことをしましたか。

 以前書きましたが、「君は、家族の“お客様”や“赤ちゃん”ではなく、家族のメンバーの一人でなければいけない」と子供たちには話しています。それは、お手伝いをしましょうということではなく、家族の他のメンバーを思いやり(見る、読む)、自分の役割を果たしなさい(動く)という意味です。

 もちろん、低学年のうちはそんなことは分かりませんから、お手伝いという名前で、家族のメンバーが何をしているのかを体験的に少しずつ知っていけばいいでしょう。そして、第2次性徴を迎えようとしている今、A子さんやB君のように単発的にでも全権を任されることで、家族の他のメンバーがこれまで自分に何をしてきてくれたのかを本当に知るのです。

 A子さん、B君、君たちは今、お父さん、お母さんの役割の大変さを知ることで、家族のメンバーになる資格を得ました。お父さん、お母さんのように責任のある大きな仕事はまだまだできませんが、家族を支えるメンバーの一人として、自分の力を発揮してがんばってください。
 

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