家族(4)
 

見つめる時間

                
 私の母の仕事帰りがこのごろ遅くなりました。洗濯物が山のようにたまってきました。以前、私は、洗濯物を出すのが遅くて、母から、
「これから、自分で洗濯しなさい。」
と言われ、1カ月ほど自分の物は自分で洗っていました。今思うと、1人分でも大変なのに、母は、5人分も洗っていて、しかも弟の靴下は手洗いです。

 今、私は勉強の合間をみて、洗濯を手伝っています。母も、きっと「たいへんだ。いやだ。」と思っているでしょうが、洗濯はかかさずやっています。以前、「自分で洗いなさい。」と言ったときの母の気持ちが、今よくわかります。『お母さん』は本当に立派な人です。
 
 
 家庭科で勉強したと思うけど、家事は「家の事」ですから、家族のメンバー全員でやらなければいけないことです。これまでは、君に洗濯の技術があまりなかったから、他の人(大人)たちがやってきたけど、今の君には一人前に洗濯をする技術があるのですから、君も当然やらなければいけません。これはもう「お手伝い」ではなく、家族の一員としての君の仕事なのです。
 君が洗濯した日は、これまで洗濯に使っていた時間を、お母さんは、君の話を聞いたり、君をやさしく見つめたりする時間として、使ってくれるでしょう。                

 何度も、子供は家族のメンバーの一人なのだから、家事をして当たり前だと言ってきました。多くの子がそれに応えて、いろいろな家事に挑戦していると報告してくれます。ここで、ひとつ、今度は、お父さん、お母さんの方に、私からリクエストがあります。

 お子さんががんばったら、御褒美に“お駄賃”ではなく、“時間”をプレゼントしてやってほしいのです。A子さんの日記に書いたように、お子さんが少しくらい家事をしたからといって、お父さん、お母さんの時間がそう簡単に浮くわけはありません。

  逆に、未熟な力で家事をされたら、その後始末で、“やってもらわない方がまし”なんて思うくらい、余計な時間を取られてしまうかもしれません。それでも、御褒美は、“時間”をあげてほしいのです。

 お子さんを見つめる時間、お子さんの話を聞く時間、本当に簡単なことでいいのです。お父さん、お母さんの目と耳と時間が自分のために使われていると感じる幸せは、お子さんにとって何物にも替えがたい贈り物です。サンタクロースもくれないすてきなプレゼントを、ぜひ、この冬休みに。
 

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