計算ドリル

                
 先生、ちょっと教えてください。算数のことです。私は、約分があまり速くないので、割り算の練習から始めています。みんなも自分に合ったところから、勉強を進めています。みんなは、問題集を新しく買って、進めています。

 母にその話をすると、「学校で買った2,3年生の時のドリルでできるでしょ。」と言われました。先生、新しい問題集を買わなくても、やる気があれば、学校の計算ドリルで勉強できますよね。
                

 まったくA子さんのお母さんの言うとおりで、新しい問題集など買う必要はありません。“登り直して”計算練習をしているのは、手になじませることが主な目的ですから、バラエティに富んだ問題をやる必要はありません。

 自転車に乗っているときバランスの取り方を気にしなくても乗れるくらい、計算が手になじむようになるまで、繰り返し、繰り返し練習すればいいのです。

 計算ドリルの「ドリル」は、工具のドリルと同じです。同じ場所を繰り返し回しながらねじこんでいって、少しずつ深く穴をあけると言う意味です。計算ドリルも、同じ場所を繰り返しやります。

 乗れなかった自転車に乗れるようにするためには、毎日違う自転車で練習するよりも、同じ自転車で練習した方が、上達は早いでしょう。手になじんでいない計算を上達させるためには、最も古くから使っている学校のドリル(少しずつ上達するようなシステムで編まれています)が、一番有効です。

 ひとつ気をつけなければいけないのは、やるたびに少しでも進歩しなければいけないということです。

 工具のドリルは、同じ場所を繰り返しねじ込みますが、同じ深さを削っている訳ではありません。一周回る事にその歯は、ほんの少しですが、深い場所を削っているのです。計算ドリルも、同じ場所をやるたびに、どこかが進歩していなければなりません。

 また、工具のドリルが板を突き抜けているのに、まだ回していたのでは、力の無駄です。同様に、計算が十分手になじんでいるのに、まだ、そのページをやっていたのでは、時間の無駄です。

 バランスのことを考えなくても自転車に乗れるくらい、算数では、計算のことを気にせず文章題に取り組めるくらい、国語では、漢字を思い出そうとしなくても作文が書けるくらいが、板を突き抜けた目安です。

 実際には、その少し手前でやめていいと思います。少し危なっかしいけれど、思い切って自転車で道路を走ってみようかなという感覚です。あとは、実践で身につけましょう。

 何回でそのページをクリアできるかは、人それぞれ違います。ですから、友達が次へ進んだからといって、焦る必要はありません。逆に、友達はまだあそこをやっているからといって、のんびりしていてもいけません。

 この3ケ月で自分の実力はよくわかったと思います。夏休みを使って、限りなく“6年生”に近づけるよう、一人一人がんばってほしいと思います。
 
 

           One of Crewへ         ホームへ