心を読む  
 

きつねの窓

 国語の『きつねの窓』は文学教材です。『生きている土』や『くらしと道』のような説明文では、構成に目を向け、著者の主張に迫り、それに対する自分の意見を持つという読み方を学習しますが、『きつねの窓』のような文章では、少し違います。

 このような文学教材では、登場人物の心を追ったり、情景描写の美しさを楽しんだりしながら、著者の主張を考えたり、物語が言おうとする事への自分の意見を持ったりする方法を学習します。

 登場人物の心を探るために、まず目が向けられるのは会話文です。 「“ぼく”は、きつねを撃とうと思っていたはずなのに、どうして最後まで撃たなかったのだろう。」という疑問の答えを探してみましょう。「同じ独りぼっちのきつねに同情したから」「自分もきつねの窓が欲しくなったから」などという答えが出ます。

 「自分もきつねの窓が欲しくなったから」という答えの証拠を探してみましょう。すると、「ぼくも、そんな窓がほしいなあ。」(P18)という会話文が目に入ります。もちろん、これで正しいのですが、これを挙げただけでは、6年生として合格とは言えません。

 よく見ると、「ぼくも、そんな窓がほしいなあ。」という文の横に、“ぼくは、子供のような声をあげました。”とあります。“ぼく”が、どんなふうに言ったかというのが分かる文です。

 “子供のような”からは、“思わず本心が口に出た”とか、“他に邪心がなく”といったような主人公の気持ちがわかります。“と言いました”ではなく、“声をあげました”となっていることからも、主人公の気持ちに嘘やだます気持ちのないことが分かります。このあたりを十分に読み取れるようになると、6年生としても合格でしょう。

 会話の言葉そのものからよりも、そのときのその人の言い方や声音によって、その人の本当の気持ちが分かるというのは、日常の生活の中で十分経験していることです。それがただ文字で、文として書かれているだけなのです。言葉一つ一つに気をつけさえすれば、普段友達の心を一所懸命考えているこの組の子にとっては、こういう文の読み取りは、さして難しくはないはずです。

 ボキャブラリーを増やす。少し気をつけながら、地の文を読む。ほんの少し努力すれば、お子さんの国語の力は、大きく伸びるでしょう。
 

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