Q23 シャープペンを禁止されましたが、どうしてだめなのか説明してもらえません。
A23 ぼくは、このごろ鉛筆を使うようになった。
四年生までは、シャープペンでやっていたのに、五年生になってから、ほとんど使っていない。
鉛筆を使うのがくせになっている。
何か書こうとすると、必ず鉛筆をとる。
シャープペンが使いにくくなってきた。
ついこの前までは、鉛筆なんて一本しか持っていなかったのに、今では五本もある。
先生も、鉛筆の方が、持ち方がよくなるとおっしゃった。
これからは、鉛筆でいこうかなと思っている。
A君は、シャープペンの弱点と鉛筆の長所が理解できたので、シャープペンを使わなくなったそうです。
いくら、大人に禁止されても、その理由を納得できなければ、大人の言うとおりにしていても、力は伸びません。
今から書く説明を読んで、シャープペンを禁止された理由について、自分で考えてみてください。
考えた結果、それでも、納得できなかったら、何度でも、先生や私に質問してみてください。
重要なのは、徹底的に考えることと、納得して先に進むことです。
シャープペンは便利な道具です。
削らなくていいのですから、時間の無駄がありません。
なんとすばらしい発明でしょう。
ただし、道具には、それなりの使い道、よい部分、悪い部分があるので、必ずそれを見極めて使わなくてはいけません。
調理に不可欠の包丁も、人間の肉を切っては、傷害罪、殺人罪になります。
20世紀最大の発明であるコンピューターゲームやスマホも、その特性を生かせずに、中毒になっている人はたくさんいます。
シャープペンの最大の長所は、削らなくてもよい芯です。
そして、最大の短所も、この削らなくてよい芯なのです。
削らなくてもよくするために、芯は細くなければいけません。
この細さゆえに、未だに、シャープペンの芯の強さは、鉛筆の芯の強さにかなわないのです。
シャープペンの芯は、特に斜め方向の力に弱いため、書いていると、紙に対してシャープペンは垂直に近くなっていきます。
正しい鉛筆の持ち方の絵を見てください。
鉛筆は紙に対して垂直ではなく、斜めになっています。
シャープペンで字を書いている時、絵と同じように斜めに持てていますか。
正しい鉛筆の持ち方は、最も、指のリラックスできる方向に、鉛筆が傾いているのです。
シャープペンを使う人の多くがペンを垂直に立てていますが、垂直に近づけば近づくほど、指は、緊張していきます。
指先の緊張によって、鉛筆なら45分間集中できたのに、シャープペンでは40分しか集中できなくなったとしたら、たった5分ですが、1日5時間の授業で、25分の差が出てしまいます。
2日に1時間ずつ、授業をサボったのと同じくらい、集中して勉強する時間が減るということです。
また、シャープペンが垂直になることによって、手首が必要以上にかえり、普通の姿勢からは、書いている字が見えなくなります。
そうすると、姿勢は、自然に前かがみになっていきます。
前かがみになって最も悪い影響を及ぼすのは、肩から首へかけての筋肉の緊張です。
ここが緊張すると、脳へ行く血液が少なくなり、脳の働きがにぶります。
これも、集中力を低下させます。
シャープペンを、ぎゅっと握り、垂直に立てるのは、良い頭をわざわざ悪くしているようなものです。
さらに、これは、未来の話になりますが、大人になって、美しいペンの持ち方をしていると、「この人は、きちんと勉強してきた人だ」と思われて、得をすることに必ず出会います。
とりあえず、シャープペン禁止に文句を言う前に、字を書いている時の自分の鉛筆の角度を確認してください。
みんなから褒められるような美しいペンの持ち方ができているなら、一度、それを先生に言ってみてください。
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