Q42 学習教材のセールスマンから、学校で勉強するだけでは落ちこぼれると言われました。
読者の方からの御相談************************
うちの娘は今、幼稚園の年長なのですが、今年になってやたらと学習関係の業者の人から連絡がきます。
内容は、ゆとり教育になって時間が少ないのに授業の進み方は早いから、何らかの塾なり教材をやらない子は確実に落ちこぼれる、内容も変わってきているから親は教えられないということでした。
授業をどんなにまじめに聞いていても、それだけじゃ本当に落ちこぼれてしまうのでしょうか?
それに、先生も落ちこぼれにかまっている余裕がないので、かまわずどんどん進んでしまうとのこと。信じられないですが、本当なのでしょうか?
学校は塾で予習、復習をしていることを前提に進むのでしょうか?
うちは、とても塾に通わせる余裕がないので、落ちこぼれるのを黙って見ているしかないのでしょうか?
どうか、本当の所(建前でなく)の学校の様子を教えてください。
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A42 私からのお返事******************************
お問い合わせありがとうございます。
メルマガを真剣に読んでいただいてうれしいです。
さて、さっそくお返事ですが、
1 塾や教材をやらない子は落ちこぼれる(学校はそれを前提に授業をする、先生はわからない子にかまわない…)
2 親は教えられない
業者の言う、この二つのことは全くのでたらめです。
まず1ですが、小学生にとって、こんなことは絶対ありえません。
私の経験から言わせてもらえば、4年生まで、塾で予習をしてくる子の多くは、学習への意欲が低下していきます。
授業でやることを「自分は、もう知っているから」と興味を持てなくなるからです。
(実際の学習内容は、子どもが理解していることと違うことも多いのですが。)
ただ、ある程度の復習は必要ですので、授業時間以外にも家庭で学習してほしいので、学校から宿題が出ます。
4年生までの小学生の脳に効果的なのは、予習ではなく、復習です。
ところが、復習というのは、大人でもつまらないものです。
そこをお父さん、お母さんがフォローしてやると、子どもは落ちこぼれるどころか、勉強に自信を持つようになります。
親が気をつけて、見ていたほうがいいのは、
算数では、
・1年生のくりあがりのある足し算と繰り下がりのある引き算を1秒以内で答える
・2年の九九を1秒以内で答える
・3年生の九九の割り算を1秒以内で答える
この3つです。学校で使う計算カードというのを使って練習します。
1問1秒というのは計れませんが、50枚で50秒なら時間を計れます。
さらに
・本を開くのを面倒がらないように、小さい頃から絵本の読み聞かせをする
・言葉を増やすために、テレビをやめてラジオをかける
・教科書の音読を毎日聞いてやる
この3つを付け加えれば、ほぼ完璧です。
次に、2の方ですが、一度書店に行って、小学校1〜3年生くらいの算数の参考書や問題集を見てください。
昔と比べて、特別変わったことを教えるわけではありません。
それよりも、昔より内容が簡単になっている(学習進度もゆっくりになっている)ことにお気づきになるでしょう。
よく、「今の教え方は、私たちが子供の頃と違うので、子どもに変なことを教えると困るから、家では教えられない。」と尻込みするお父さんやお母さんがいますが、そんな心配はいりません。
解き方とか、教え方はたくさんあればあるほど、子どもの脳は発達します。
先生の解き方と親の解き方が違っていれば、2倍頭はよくなるわけです。
とにかくまず書店に行ってみてください。
安心できると思います。
心配されている塾ですが、良い塾の条件は、
・お子さんの個人の特性を見抜いてくれる先生がいること。
・お子さんの個人の特性に合ったプログラムを組んでくれること。
・考える部分を軽視しないプログラムを持っていること。
です。
親がしっかりとこれを見極めずに塾に行かせると、お金をどぶに捨てることになります。
お子さんの特性を一番よくわかっているのは、お父さん、お母さんです。
どんな風に話せば話が通じるかを、一番よく知っているのはお父さん、お母さんなのです。
子どもが一緒に考えていて一番楽しい相手は、もちろんお父さん、お母さんです。
この点では、世界中のどの塾の先生よりも、お父さん、お母さんが最高の先生なのです。
市販されている学習教材は、勉強ができなくて困っている子には役に立ちません。
勉強がわからなくて、やる気がなくなっている子が、一人でその教材をこつこつとやるとは思えないからです。
大人でも、やらないと思います。
「独学」という言葉がありますが、これは、学習に意欲のある人に当てはまる言葉です。
市販の学習教材が値段どおりに役立つのは、学習意欲が旺盛で、めちゃくちゃ勉強が好きな子の場合だけでしょう。
私の娘も息子も、一度も学習塾へは行っていません。
よく「親が学校の先生なら家で教われるから塾は必要ないのだろう」と言われますが、なかなかそうもいきません。
私も妻も小学校の教員ですから、6年生までの内容は何とか質問には答えましたが、数学は中学1年までで力尽きました。
それ以後、1度も子どもの勉強には関わっていません。
ただし、今でも、親子いっしょのコタツの上で、それぞれの本を開いています。
(家が狭くて子ども部屋がないだけですが。)
学習塾へは行かない代わりに、二人ともお稽古事にはお金を使いました。
特にピアノは嫌がるのを無理に行かせました。
手になじませた技術は「一生もの」だからです。
結論を言えば、幼稚園の年長さんの段階で、塾や、学校以外の教材については、まったく悩む必要はありません。
安心してください。
世界中で一番お子さんのことがわかるのは、お父さん、お母さんです。
自信をもってください。親の本物の愛があれば、小学生は、良い方向に向かいます。
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