Q44 海外に永住する予定ですが、子どもの言葉の教育について悩んでいます。
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読者の方からの御相談************************
こうじさん、はじめまして。
「速効よい子」を読ませていただいてぜひ話を聞いていただけたらと思ってメールいたしました。
私達は今、夫婦の母国ではない第3国に住んでおります。
子供たちはこれから夫の母国語、現地語、日本語、そして学校で習う英語といろんな言葉に触れていくことになると思います。
こちらに来る前にバイリンガルキッズの本を読んだのですが、それにはなかなか現実問題としてバイリンガル、トライリンガルはうまく行かないというような話がかかれてありました。
こちらに来た当時は私自身がかなりのマイナス志向でした。
でもそれって子どもにも敏感に伝わってしまうものなのですね。
「僕は日本語人だから」とかたくなに話をしようとしない子どもにいまさらながら自分の態度を反省したのです。
夫婦で話し合って私は日本語を、夫も母国語を話すことに決めました。ただ夫の母国語と現地語は似ているので混乱するようです。
現地語での話しかけもしていこうと思っています。
永住予定なので現地語を柱に育ってほしい、日本語も忘れないでほしい、できれば夫の母国語も…なんて親のエゴでしょうか。
躍起にならず楽しみながらこつこつ積み上げていくしかないと思いますが、こうじさんのご意見を伺えると幸いです。
もちろんお時間のあるときでけっこうです。
どうぞよろしくお願いいたします。
お忙しい中読んでいただいてどうもありがとうございました。
これからもメルマガを楽しみにしています。
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私からのお返事******************************
こんにちは、お便りありがとうございます。
今回いただいたご相談は、私自身まったく経験のないことですので、想像だけで書きます。
友達によい考えを持った人がいたら、あらためて聞いておきますので、今回のメールは、未経験者の感想程度に考えていてください。
「国語」の授業をしていると、母国語のみを学習しなければならない子でも、その習得は難しいと感じます。
特に、年々、おじいさん、おばあさんといっしょに暮らさない子が増え、そういう子が自然に持っている語彙や文法は、おじいさん、おばあさんと暮らしている子の持っている語彙の半分以下ではないかと感じます。
家族でのおしゃべりが足りない子は、それだけで国語の学習のスタートが遅れます。
ですから、父母会では、家でのおしゃべりの重要性を話すことにしています。
多くの国の言葉をあやつる人の脳の構造がどうなっているか、自分で経験していないのでさっぱりわかりませんが、以前聞いた話によると、何ヶ国語を操ることができても、必ず、母体になる言語をみんな持っていて、その母体になる言語を完全に操れなければ、他の言語もあいまいな部分を残すそうです。
そこから考えると、まず、お父さんかお母さんのどちらかの母国語をきちんとマスターさせるのが大事なのではないでしょうか。
目標としては、
聞く、話す…まわりの人が爆笑するようなジョークを、場を読んでタイミングよく言うことができる。
読む…子どもなら学校のテキスト、大人なら新聞を読んで、自分の意見を持つことができる。
書く…相手をじ〜んとさせるラブレターを書くことができる。
ラブレター、と言うと、「冗談言ってるの?」とよく叱られますが、ラブレターはとても重要だと思っています。
好きな人に自分の思いを告げることほど、大事なことはありません。
小学生の低学年なら、お父さん、お母さんへの手紙、中学年から高学年なら、憧れのスポーツ選手やタレント、高学年なら初恋の相手でもいいですね。
ラブレターを本気で書こうと思うと、ものすごい総合力が要ります。
そちらでは、僕の想像もつかないような困難なことがあると思います。
でも、多くの言語に囲まれて生活すると幸運は、日本人のほとんどの子どもが体験できないラッキーなことです。
今の生活はすべて、困難なことも含めて、きっと人生を開く大きな鍵になりますね。
僕自身が最近気づいた大事なことがあります。それは、「幸せは人の手を介してしか、やってこない」ということです。
幸せになりたいと一人でもがいていた時期がありました。
でも幸せにはなれませんでした。
ところがそれを超えて、人が幸せそうにしているのをみるのがうれしいと思うようになったら、途端に、今まで望んでも手に入れられなかった幸せな状況が、いくつもいくつも自分の手元にやってきたんです。
進んで多くの人と接しようと努力し、まずその人のことで頑張ってみる。
そうすると結果的に、自分の望んでいた幸せが自分の手の中にありました。
最初は魔法にかけられたように不思議な感覚でした。
多くの人とかかわりを持てば持つほど、幸せがやってくるチャンスが膨らみます。
Aさんのご家族は、日本にいる他の家族よりも、幸せになるチャンスの大きな場所に住んでいるんですね。うれしいことですね。
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読者の方からの御返事************************
浩二さん、こんにちは。
お忙しい中、とても丁寧なお返事を送って頂いてほんとうにどうもありがとうございます。
ラブレターのお話、本当にその通りだと思います。
年末年始は日本に帰国していたのですが、こちらに帰ってから1月末のおじいちゃんおばあちゃんの誕生日に電話しようかと提案すると、なにかプレゼントをしたいと言い出しました。
いつも自分の誕生日をお祝いしてくれるのでケーキを作ると言ったのですが(誰かの誕生日に粉をふるいに掛けたり混ぜたりなどを手伝って作っていたので。)それは送れないので絵を描いて送ろうと言うことになりました。
大好きな人に手紙を書く、それはほんとにすばらしいことだと思います。
そこから楽しんで字を学んでくれたらいいなと思います。
素敵な言葉をたくさん頂いて本当にありがとうございました。
彼の力を信じてやっていこうという勇気が出ました。
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私からのお返事******************************
さっそくお返事ありがとうございます。
今回のご相談は、私に経験のないことでしたので、感想程度で申し訳ないと思っていました。
なのに、こんなふうに受け取っていただいて、感激しています。
自分の大好きなお父さんとお母さんを育てたおじいさんとおばあさんも大好きになることは、子どもにとってとても重要なことです。
お父さんとお母さんがおじいさんとおばあさんを愛しているということを目の当たりにすることは、子どもが愛のあふれる人に育つために必要不可欠なことにさえ思えます。
「おめでとう」のほかに、「ありがとう」「おだいじに」がきれいに書けるようにしてあげられるとお子さんの周りの人がもっと幸せになるかもしれませんね。
教育に関する自分の経験が日本独特のものなのか、それとも人間として世界のどこに住んでいる人にも役立つものなのか知りたいといつも思っています。
お気づきのことがありましたら、またお便りください。
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読者の方からの御返事************************
言葉のわからない外国人が現地で暮らしていく、溶け込もうとしていくときに挨拶は欠かせないものだと思っていました。
近所の方、幼稚園の父兄の方、通りすがりの大人、子ども。スーパーの人。心がけたのは笑顔で自分から先にする、でした。
無視されることもありました。
目を合わさない方もいました。
それでもかかわりのある方たちにはめげずに続けていました。
人って変わるんですね。
いつか答えてくれるようになったのです。
今考えると、多分その人たちの中で「私」が安心して挨拶を交わすことができる相手として無意識のうちに分類?されたのではないかと思うのです。
こちらから挨拶しても決して無視しない相手。
そういう人にはためらいなく挨拶できるのではと思うのです。
今の課題はそこから2、3の世間話ができることです(笑)
まだまだパーフェクトの会話は成り立ちません。
まずは子どもから親しくなっていこう作戦です。
目が合ったら満面の笑み、ハロー、○○!と名前を呼び、そして簡単な会話を交わすことが目標です。
ただ見知らぬ人、通りすがりの人には一定のルールがあるのではと思い始めました。
目を合わせてくる人、笑顔の人には「挨拶する気がある」ということです。
なので私も目をそらす人にはあえて深追いしないことにしました。
こちらでは、テレビも新聞も役員会もPTAもないので日本のお母さん方よりはゆったり生活しています。
そしてちょっぴり孤独でもあります。
あ、でもとっても幸せです。
夫も子供たちも自分の世界があります。
私も何かしたいなぁ〜と考えてとっかっかりをつかんだところです。
「ありがとう」と「おだいじに」、大切にしていきます。
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私からのお返事******************************
この2年間、生徒指導主任という仕事をしていました。
子どもたちへの指導で、「明るいあいさつをしよう」というスローガンを掲げました。
でも、2年間、ほとんど効果がなく、打つ手もなくなってきました。
「明るい」が具体的ではない、という意見があったので、4月からは「笑顔であいさつをしよう」に変え、具体的な対策を練っていくことになりました。
心配なのは、これが海外で通用するのか、ということでした。
日本人は意味もなくにやにやして薄気味悪いとアメリカ人が言っている、という定説があるみたいだからです。
でも、今日のAさんのメールを見て、やる気がわいてきました。
どの国の人も笑顔って安心しますよね。
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