Q52 左利きは直した方がいいですか。
読者の方からの御相談************************
「速効!よい子」いつも興味深く読ませていただいてます。
この度は、左利きに関して先生のご意見を伺いたく、メールさせていただきました。
我が家の3人の子供は、なぜか全員左利きなのです。
そのことについては、私たち夫婦も子供たちもとくに気にしていないし、コンプレックスもありません。
しかし、左利きを直した親御さんの話を聞いたり、年配の方のなかには気にする方もいるようです。
(長男は習字は右手で書かせています。)
小学生の長男・長女は、いまさら直すつもりはないのですが、幼稚園の次男は今なら直せるかもしれないと思うのですが…。
ただ無理に直すと脳の中で混乱がおこるという話も聞いたことがあります。
さて、左利きは直すべきなのでしょうか?
ご多忙な中、何度も質問させていただくこと恐縮ですが、是非先生のご意見をお聞かせください。
**********************************************
A52
私からのお返事******************************
お便りありがとうございます。
私の教室では、左利きを右利きにかえることはしません。
ただ、父兄からの要請があれば右利きに変えるお手伝いはします。
子どもには、左利きに生まれてよかったね、と言います。
日本は、右利きの人に便利なようにできていることがたくさんあるので、それを使わなければもったいない。
使いたいと思えば、右の手も上手に使えるようになるよ。
そしたら、君は両方の手を自由に使える人になる。ラブレターを2通同時に書けるようになるかも。
…こんな感じです。
実際に、左利きの子どもが、右手の練習をするには大変です。
でも、有利なことが2つあります。
・10歳までなら、まだ、脳の組み立てが確立していないので、早く習得できる。
・右手を使う練習教材がたくさんある。(世の中にあるものほとんどが右手練習の教材だと思えば楽しいと思います)
右手で何の練習をすればいいかは、父兄にお任せしますが、相談された時は
・箸、筆の類は右手で自由に使えるようにする。
平仮名の形と毛筆の性質を考えると右手の方がいいし、和食を上手にいただいたり、外国の人に和食の作法を教えるには箸は右手の方がいいです。
・図や絵の類は、左手だけでもOK。
・投げるというような大きな動作や、縛るというような左右でできたほうが楽しそうなことは両方で均一に。
と答えることにしています。
右手で平仮名を美しく書き、アルファベットやアラビア文字などは左手ですらすら書く、なんてかっこいいと思います。
右脳と左脳の働きの違いが発見されて50年ほど経つそうですが、両手の指を均等に鍛えるのは脳のためによいことだと思います。
これこそ、日本で左利きに生まれた人の特権ではないかと思います。
最近、ちょっと自分で実験したことがあります。
人は腕の組み方が左右決まっていて、胸に近い方の腕の方の脳で、よりたくさん物を考えるというのをどこかで聞きました。
私の場合は左の腕が下(胸に当てる)なので、左の脳でたくさん物を考えることになります。
確かに私は文章を書くのは好きですが、絵を描くのは苦手です。
作詞は少し自信があるのですが、作曲にはまったく自信のない僕にとって右脳を鍛えたいというのは、昔からの大問題です。
それで、腕を組む時に、意識して逆の組み方をしてみることにしました。
最初は違和感がありましたが、2ヶ月ほどやっている間に、少し慣れてきました。
それで右脳に影響が出たかどうかはわかりませんが、ひとつ不思議なことが起きました。
キリスト教のお祈りのように手を合わせた時、いつもと逆の組み方をすると(私はいつも右手の親指が一番手前に来るのがしっくりしていました。
ですから左手の親指を手前にして組むと)すごい違和感がこれまであったのに、今はそれほどでもなくなっています。
こんな年になっても、脳はこんなふうに柔軟に変わるのだと感じました。
脳の仕組みは、まだ知られていないことがたくさんあります。
最新の発見も、明日には逆転することも考えられます。
大事なのは親の直感です。
親の直感というのは、本当にすごいと思います。
お子さんにとって大事だと感じたことは、迷わず全部やってあげてください。
あまり具体的なお答えではないような気もしますが、また、お便りいただけるとうれしいです。
**********************************************
読者の方からの御返事************************
お忙しい中、早々にお返事をいただきありがとうございました。
先生のアドバイスは説得力があり、私たち夫婦はたいへん勇気付けられます。
また、先生のおっしゃる「親の直感」ですが、たいへん感銘を受けました。
私たちはどうしてもマニュアルを探しがちでした。
これからは自分たちの直感を大事にしようと思います。
これからも「速効!よい子」を楽しみにしております。
**********************************************