シャープペン

 シャープペンは使っていいのかと質問されました。答えはYESです。芯を削らなくても書き続けることができるこんな便利なものを使わない手はありません。

 ただし、シャープペンの持っている危険性を承知のうえで使ってほしいと思っています。テレビ、原子力発電・・・、便利なものは、その裏に危険性を孕んでいます。その危険性を十分承知のうえで使わなければなりません。

 シャープペンの弱点はいくつかありますが、子供の発達に最も影響を与えるのは、斜め方向の力に弱いことです。芯の改良も進み、初期に比べると、芯も随分折れにくくなりましたが、鉛筆の芯の強さにはまだまだかないません。

 芯が折れないようにするために、シャープペンの持ち方は、知らず知らずのうちに、紙に対して垂直に近くなっていきます。正しい鉛筆の持ち方は、紙に対して45〜60度位になるはずです。

 この、正しい鉛筆の持ち方と言われるものは、大変合理的にできています。指先にかかる力が最も少なくてすむ持ち方なのです。指先にかかる力の量というのが、実は、これからのお子さんの能力の伸びに大きく影響するのです。

 指先にかかる力が少なければ少ないほど、疲労度も少なくなります。体の疲労度は、集中力の長さに影響します。正しく持てる子が30分勉強に集中できて、正しく持てない子が高い疲労度のために20分しか集中できないとします。その差、毎日10分。1年で60時間の差がでます。

 また、ペンを垂直にすればするほど、文字は手の中に隠れてしまい、それを確認するために人間の姿勢は、前のめりになります。前のめりの姿勢は、神経の詰まっている背骨と、脳に酸素を渡す大切な血管の詰まっている肩と首を圧迫し、これも疲労を増進し、集中力を途切れさせるための「立派な」働きをします。

 さらに、指先は、脳のいろいろな神経の部分と直接かかわっていると言われています。リラックスして自由な指と、シャープペンに押し付けられて動きの不自由な指とでは、脳への働きかけも変わってくるでしょう。

 このようなことを踏まえたうえで、鉛筆かシャープペンかをお選びください。
 

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