一人の時間
先月末から、午前中で授業を終えて帰る日が何日かありました。高学年になってからは、午後の自由な時間が取れるというのも(かわいそうなことですが)めったになくなってきています。この貴重な午後の自由時間をお子さんは、どのように使っていたでしょうか。私は、彼らに、次のように言いました。
まず大事なのは、友達と大勢で、時間の許す限り、精一杯遊ぶことだ。思い切り遊ばないと友達はできない。一日中一緒にいても、手をつないでトイレに行くくらいでは、本当の友達にはなれない。体を思い切り使って一緒に遊ばなければだめだ。
次に大事なのは、友達と別れて一人になったとき、どんなふうに過ごすかだ。何もしないでぐてんぐてん寝ていたり、だらだらとテレビを見ていてはいけない。別れた後、友達は、きっと頑張って何かをしているだろう。そして、その頑張った成果が表れて、次に会ったとき、その友達は、もっと魅力的になっているだろう。
すると、君は、もっともっとその人と深い友達になりたいと願うようになるだろうが、君がもし一人の時間をだらだら過ごしていたのでは、その友達と釣り合いの取れる魅力がなくなってしまう。その人は優しいだろうから、そんな君でも友達と言ってくれるだろうが、このような同じことが繰り返されると、その差はどんどん広がり、きっとその友達も、君を友達として支えられなくなる。そうしたら、いくら君が、その人と友達でいることを望んでも、どうしようもなくなってしまう。
友達というのは、理論を越えているところがあって、いくら尊敬し合っていても、同じバイブレーションを感じる経験をしないと、なかなかうまくいかないものです。もう少し大きくなると、同じ仕事をやり遂げるという方法で、同じバイブレーションを感じることもできるようになりますが、今のところは、精一杯遊ぶことで、同じバイブレーションを感じれば十分でしょう。だから、まだこの年齢の子供は、時間の有る限り、いっしょにくたくたになるまで動き回って遊ぶべきです。
遊び疲れて、家に帰ってからは、今度は一人で頑張れなければいけません。遊んで帰ってきて、だらだら一人で過ごすだけでは、その人の魅力は、いつまでたっても膨らまないからです。誰だって魅力的な人と友達になれればうれしいものです。自分は何の努力もしないで、人にだけ魅力を求めるのは、虫がよすぎるでしょう。
では、お互いに努力しないどうしで、ずっと友達でいればいい、と反論されましたが、そう簡単にはいかないのです。自分のことはさておき、友達はできるだけ魅力的な人の方がいいと自然に高望みするのが、人の心のやっかいなところなのですから。