今日、僕は、本当に友達には良い人がたくさんいるんだということがわかりました。
金曜日に、隣にいるA君に厚い本で叩かれ、僕はかんかんに怒りました。喧嘩になってしまったとき、A君は、僕に「サッカーがへたなくせに。」と言いました。僕はその言葉に心が傷つき、その日は2時間ぐらい部屋で泣き続けました。今でも、そのくやしさが心に残っています。
学校の帰りに
「ぼく、サッカーやめたいと思うんだけど・・・へたくそだって言われて。」
と友達に聞いてみました。すると、その友達は、
「やめちゃだめだよ。好きなんだろ、サッカーが。」
と言ってくれました。僕は、とても良い友達に会えて、本当に良かったと思っています。
土曜日に席が近くのBさんなど、いろいろな人に同じように聞いてみました。女子も同じように、
「やめちゃだめ。サッカーが好きで入って、本当は続けたいんでしょ。自分の 夢を実現しなくちゃ。」
と、励ましてくれました。僕はもう一度考え直しました。僕は頑張ってサッカーを続けることにしました。
1学期にも同じようなことがありました。そのときも友達から、
「くよくよしちゃだめ。サッカーが大好きなら、それを乗り越えないと、レギュ ラーにはなれても良い選手にはなれないよ。だから続けようよ。」
と言ってもらったことを思い出しました。
今日、本屋へ行ったら、Bさん、Cさん、Dさんと会いました。僕が本を読んでいるとBさんが、
「サッカー、どうすることになったの。」
と聞いてくれました。
「続けるよ。サッカー好きだもん。」
と言うと、
「そうだよ、続けなくちゃ。最後まで頑張らないとね。」
とBさんは僕に言いました。
友達は本当にいいものです。女子でもこうして励ましてくれます。男子はもちろんいろいろ協力してくれます。
僕も、困っている人がいたら、積極的に声をかけて、いろいろ友達の役に立てるようになりたいと思います。
日記を書いたE君にとってサッカーを続けるかどうかは、人生を180度変えるかどうかの大きな問題でしょう。(おおげさだと思うかもしれませんが、お父さん、お母さんも子供のころを思い出してください。)こんな問題を抱えている時、一緒になって考えてくれる人が何人もいるのは、幸せなことです。
この日記にはA君が“悪役”で出てきます。実際のところ、A君とE君の間に何があったのかは、私にはわかりません。もしかしたら、A君の日記の中では、E君が“悪役”になっているのかもしれません。友達として自分の周りにいる人は、自分に都合の良い人ばかりかと言うと、そうもいきません。“悪役”がいたから、他の友達の良さがわかるということもあるわけです。
助け合う
「友達は助け合うものだ」
これはこれで正しいのですが、人間は、どうも自分に甘くするようにできているようで、「助け合い」という言葉は、いつのまにか「相手が自分を助けてくれること」に意味がすり替わっていってしまうようです。
子供たちが「むかつく」という言葉を使い過ぎると話題になったことがあります。むかつくというのは、相手に何かを望んでいたり、相手が自分のために在って当然と思っている時の感情です。相手に何も望んでいないときや、相手の存在そのものに感謝しているときは、「むかつく」という感情は生まれません。
また、相手に10のことをしてもらったら、自分も10のことを返すのが助け合いだと思い込んでいる子もいました。しかし、それは助け合いではなく、お礼をしたにすぎません。お礼を助け合いだと勘違いしたままでは、「むかつく」子とさほど違いはありません。助け合いは、どちらから始まるかわからないものでしょう。
そこで私は、子供たちに、「友達というのは、助け合う間柄ではない。相手が自分のことをどう思っていようとも、その人のために何かしたいといつも感じる相手が本当の友達だ。相手の人が自分に対して同じような気持ちになってほしかったら、相手が自分に“ほれて"くれるよう、血のにじむような努力をして自分をいろいろな面で高めていかなければならない。もし、その相手が、自分に対してもそう思ってくれたら、とても幸せなことだ。」と言ってきました。
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私は「種蒔きカード」に感謝しています。
前に先生が私の日記にこういうことを書いてくれました。「自分が笑顔でいればまわりの人は安心してくれます。自分が一所懸命仕事をしていれば、まわりの人はいい気持ちになれます。」それで私は、そうなれるようにがんばってきました。
このごろの種蒔きカードの中に「笑顔がいいよ」とか「給食の片付けを進んでして立派」などと書いたのがあるんです。私はなんだか、このごろ自分までいい気持ちになってきました。人の心を暖かにするというのは、自分を暖かにするということなんですね。
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この日記を書いたAさんと本当の友達になりたいとか、私もAさんのようになりたい、と心ひそかに思っている女の子が、このクラスにはたくさんいます。