人生はエスカレーター、今は上り
4年ごとの節目について、5年生と6年生に、「人生はエスカレーターのようにできている」という話をしました。
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人は、高い所にいた方が広い視野が持てます。
(高い場所にいる人と低い場所にいる人の絵を描き、低い所にいる人の前に木を描きます。木の向こう側に宝箱を描くと、その宝箱は、高い所の人からは見えますが、低い所の人からは見えません。)
視野が広いと、良いものを見つけられることも多くなります。
でも、人間は、こんなにジャンプできないので、高い所には、一瞬では行けません。
(高い所の人は、低い所の人の5倍くらいの高さの場所に描いてあります。)
上るための階段があれば、この高さまで誰でも行けます。
(高い所の人が上ってきたように階段を描き加えます。)
ですから、毎日、ほんの少し、今までより進歩できるように努力するだけで、君も、こんな高い場所に行けるのです。
(毎日の努力が大事ですが、それは、ほんの少しで良いということを知ると、子どもたちは、やる気を持ちやすくなります。)
ただ、これは、3年生でもわかる話です。
ここで、5年生、6年生にしかわからない「人生の秘密」を教えます。
(これは、小さい子には分からない話、と前置きをするだけで、話を真剣に聴くようになる子もいます。)
実は、これは階段ではなく、エスカレーターです。エスカレーターなので、本当は、努力などしなくても、君は進歩してしまいます。
君は、50m走で1年生に勝てますね。
でも、そのために、オリンピック選手のようにトレーニングしましたか。
陸上選手の練習をしていないのに、4年間で短距離走の記録を何秒も縮めているということです。
これは、人生がエスカレーターで出来ているので努力をしなくても進歩する、という証拠です。
1歳の赤ちゃんなんて、もっと凄いです。
1年前に生まれて来たばかりなのに、たった1年で立って歩き、人の言うこともわかってしまうのです。
赤ちゃんと自分を比べると、気づくことがありますね。
今の自分の1年の進歩と、赤ちゃんの1年の進歩では、進歩の速さが随分違っているのがわかりますか。
これは、エスカレーターの速さが違うからです。
私の経験によると、2歳、6歳、10歳、14歳と4年ごとに、その速さは遅くなっていき、18歳で止まってしまいます。
さらに、18年経って36歳になると、このエスカレーターは下向きに動き始めます。
それは困る、と思ったかもしれませんが、安心してください。
エスカレーターが上に向かって動いている間に、自分でも歩いて上っている子は、上り方が分かっているし、上るための筋肉も付いているので、18歳になっても自分で上り続けることができます。
子どもの頃から、毎日、もっと頑張っている人は、36歳になってエスカレーターが下に向かって動き始めても、上ることができるのです。
君たちのお父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんの中にも、習い事やスポーツで、毎年、進歩している人もたくさんいるはずです。
これは、エスカレーターが下向きでも、それより速く上る力を、小さな時から身に着けてきたからです。
エスカレーターが止まっても、下に向かって動き出しても、進歩し続けられるように、今日から、ほんの少しだけでいいから、昨日と違う自分になれるように頑張ってみましょう。
今まで適当に書いてきたノートの字を綺麗に書いてみる、今までいい加減にやっていた音読の宿題を気持ちを込めてやってみる…、本当にほんの少しでいいので、昨日の自分から変わってみましょう。
本物のエスカレーターは、危険なので歩いてはいけません。
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次の授業に行った時、ノートの字が丁寧になっている子がいました。