四捨五入を知らない大人
4年生の算数で「概数」の勉強が始まりました。
第1時間目。「概数」って何だろう、という勉強を始めたとたん、Aくんが「手を挙げたので指名すると、「概数というのは…、四捨五入して…、切り上げ、切り下げは…」と説明を始めました。
なかなかりっぱな説明で、今回学習する概数のことをよく理解しているのがよくわかります。
聞いていた子たちはちんぷんかんぷん。Aくんは、話し終えると満足げに席に座りました。
Aくんは、学習塾に通っていて、塾で概数の勉強を1週間前にしたそうです。
Aくんは、学習塾に行っているおかげで、授業中に堂々と発表ができました。
毎月月謝を払い、放課後友達と遊ぶのを我慢して、学習塾に通った甲斐があります。
でも、Aくんが、他の子を引き離して優秀になったわけではありません。
Aくんが朗々と話したことの内容は、2日後には、教室の全員が理解し、身につけることができるものだからです。
娘も息子も、私自身も学習塾には行ったことがありません。
ですから、学習塾がどういうところなのか、よく知りません。
学習塾がどういうところなのか、よく知らないで書きますが、学習塾に通う多くの子を見ていて、小学生にとって、学習塾にはよいところとよくないところがあると感じます。
よいと思うところは、
・学習に自信のない子が、他の子の何倍もの時間をかけて勉強することで自信が持てるようになる。
・学校で宿題が出ても、一人ではやる気が起きない子が、強制的に勉強をやらされることで、他の子と勉強の質と量が同じになる。
よくないと思うことは、
・低学年で、塾で予習が行われている場合は、学校の授業が「2度目」になるので、新鮮さが失われて脳が働かないことがある。
・せっかく他のことができる時間に、学校と同じことをするために時間を使ってしまう。
どんなことにも、プラスの面とマイナスの面があります。
お父さん、お母さんの大事なお金と、子ども自身の大事な時間を使うのです。
何となく不安だから、他の子が行っているから、という理由で通わせることを選んではいませんか。
大事なものを使う時、「何となく」はいけません。
この子にとって、こういうメリットがある、とはっきりすれば、塾やお稽古は、この上もなく、よいものになります。
お子さんにとって、どんなことがプラスで、どんなことがマイナスか、よく考えて、お金と時間を有効に活用しましょう。
娘も息子もピアノの塾に通わせました。
息子は当時、ずっと嫌がっていましたが、大人になった今、「あの時、まじめにやっておけばよかった」と時々口にします。
四捨五入を知らない大人はいませんが、ピアノを弾ける人は、それほど多くありません。
ピアノ教室に無理に通わせて良かったなあと思います。