「自分大好き」を回復すれば
学校の子どもたちのお父さん、お母さんが、時々、「私には、この子が理解できません」とおっしゃる場合があります。
「全然、親に似ていないんです」と続きます。
でも、こちらから見ると、「これ以上、似ている親子はいません」と思えることの方が多いのです。
心も体も、子どもを形作っているのは、すべて、お父さん、お母さんからもらったものです。「子は親の鏡」なのです。
ただ、その鏡は普通の鏡ではありません。
所々が拡大鏡になっていたりします。
洗面所の鏡が所々、拡大鏡になっていて、ほんの小さな黒子が物凄く大きく鏡に映ったりしていたら、びっくりして「これは私じゃない」と思ったりするかもしれません。
子どもの思いがけない行動や考え方も、つぶさに見てみると、その小さな種は、お父さんとお母さんのどちらかにあるのです。
子どものすることも、拡大鏡の黒子のように拡大して見えてしまうので、自分と違うように思えたり、大変なことのように思えたりしますが、お父さん、お母さんの自分のある部分が見えているだけなのだと思うと、解決方法も見つかります。
お父さんとお母さんが、それぞれ御自身のことが大好きで、しかも相手のことが大好きな場合は、子育てに問題や悩みは起きません。
でも、なかなか、そうはいかないのが世の常で、自分の性格で、あまり好きではないと思える部分があったり、長年連れ添うと、相手のいろいろなところが欠点に見えてきたりします。
厳しい言い方かもしれませんが、子育てで立ち止まらざるを得なくなった時は、お父さん、お母さんが、自分自身やお相手のことを100%愛せなくなっている時です。
ですから、もし、子育てで悩みが生じたら、まず初めに、お父さん、お母さんが自分自身を100%愛しているか、夫婦で100%愛し合えているを確認してください。
もし、すぐに、この二つが確認できたり、改善できたりしたら、子育ての悩みは即座に解決します。
もし、なかなか改善されなければ、とにかく、まず、自分が自分を大好きだということを確認してください。
現在、でも、思い出の中でもいいので、自分にやさしくしてくれた人たちの顔をたくさん思い浮かべながら、「私もけっこういいやつじゃん」なんて心の中で繰り返すと、早く「自分大好き」が回復します。
パートナーの欠点がなかなか自分の心から消えてくれなくても、「自分大好き」になったら、大丈夫です。
欠点があるパートナーだけれど、信頼できる自分が選んだのだから、この人を選んだということそのものには間違いはない、と思えてくるからです。
「子は親の鏡」
鏡は左右が逆に映るものです。
「気が短い」を鏡に映すと、「気がきく、気働きができる、決断が速い」に見えるかもしれません。
テレビ番組で、黒柳徹子さんが、こんな話をしていらっしゃいました。
「以前、アフリカのある国に行ったら、その国には、小児科の病院がたった二つしかなかった。あるお母さんは、病気の子供を抱いて、家からその病院まで150km歩いてきた。ドクターは、そのお母さんに、この病院にきたかぎりは絶対に死なせません、と言った」
自分が親になれたことそのものが幸せなのだ、と、この話は教えてくれているような気がします。