親の口ぐせが子どもの心を創る
家庭訪問では、先日書いたことを「学年便り」にも書き、クラスのお父さん、お母さんにも読んでいただいたところ、多くのお家で、子どもの自慢を沢山書いたものをご用意いただくことができ、充実した家庭訪問ができました。
どの家でも、上手に子ども自慢をしていただき、愛情の深さを感じました。
A君の家では、「うちの子は、ありがとう、と、よく言ってくれます」と、お母さんが話してくれました。
「ありがとう」と言えることは、人間として重要な事であり、それゆえに「当たり前のこと」と思ってしまいがちです。
「当たり前」と思ってしまいがちなことを、大事なことだと認識できるのは素晴らしいことで、A君のお母さんのセンスのよさを感じます。
さて、A君は、どうして「ありがとう」と言える子に育ったのでしょう。
その答えは簡単です。
家族が、みんな「ありがとう」と言っているからです。
「きっと、お父さんはお母さんに、お母さんはお父さんに、たくさん、ありがとうと言っているのですね」と言うと、A君のお母さんは、「さあ、よくわかりません」と笑っていましたが、お父さんとお母さんが互いに、ねぎらいの言葉を毎日掛け合っていることは、間違いありません。
心は、言葉で作られています。
人間性は、10歳までに身についた心を基本にできあがっていきます。
10歳までに最も多く耳に入ってくる言葉は、家族の言葉です。
ですから、その子が、良い人になるかどうかは、10歳までに、家庭の中で、どんな言葉を聞き続けてきたかにかかっていると言っても過言ではありません。
「ありがとう」が飛び交っている家庭で育っている子は、「ありがとう」と自然に言う子になります。
「こういう人に育ってほしい」という理想の人を、お父さんとお母さんが、生まれてから「たった」10年間演じるだけで、子どもは素敵な人になるのです。
この話をすると、「それは大変だ」と言う人と、「それはラッキーだ」と言う人に分かれます。
前者は、「それなら、毎日の言葉に気を付けなければいけない」と考え、後者は、「それなら、親の気遣い次第で、子どもは、どんどん良い人になっていく」と考えるからです。
前者のように、もし、こうしたことを負担に感じるようなら、無理をする必要はありません。
子育てにおいて、親の「無理」は、それだけで子どもの心に厄介な影響を及ぼします。
ですが、後者のように、それならやってみようと少しでも思ったら、チャレンジしてみてください。