2つの眼鏡
親は、子どもを見る時、いつでも2つの眼鏡を持っていなければいけません。
1つは、顕微鏡のように、近くにあるものを細かく見る眼鏡。
もう1つは、望遠鏡のように、遠くを見る眼鏡です。
近くを見る眼鏡をかけた時は、子どもが今、何を考えているのか、何を悩んでいるのか、健康状態はどうか、などが見えてきます。
遠くを見る眼鏡をかけた時は、子どもが将来どうなるのか、そのために今、何をしなければならないのか、などが見えてきます。
日本では長い間、多くの場合、お父さんが遠くを見る眼鏡、お母さんが近くを見る眼鏡を持っていて、バランスよく子育てをしていました。
でも、最近は、イクメンなどという言葉も流行り、お父さんが近くを見る眼鏡をかけて家で子育てをし、お母さんが社会に出て活躍しながら遠くを見る眼鏡をはめて子どもを育てているという家庭もあります。
男が遠い眼鏡、女が近い眼鏡を持つのが、生物的には楽なようですが、これは、どちらでもかまいません。
2つの眼鏡さえ持っていればいいのです。時には、お父さんとお母さんが、眼鏡を交換するのもいいかもしれません。
2つの眼鏡を持つことは、シングルペアレントにも当てはまります。
親は一人でも、その一人が2つの眼鏡を持っていれば、
大丈夫です。
遠近両用の眼鏡を持つことは難しいことですが、2つの眼鏡をかけ替えながら子育てをすれば大丈夫です。
最近、心配なのは、お父さん、お母さんと親が二人そろっているのに、眼鏡を1つしか持っていない場合が、時々見られるようになったことです。
どちらの眼鏡にしても、1つしか眼鏡のない親に育てられた子は、心が折れやすくなります。
それから、もう一つ気を付けなければいけないのは、お父さんとお母さんが、違う方向を見てしまうことです。
これでは、ますます、子どもは不幸になります。
違う眼鏡をはめていることと、違う方向をみていることとは、似ているようで全然違います。
お父さんとお母さんが、2つの眼鏡を持って、同じ方向を向いて子育てをする。
いつも、このことを心のどこかに置いてください。