愛していると言う

卒業式で、お父さん、お母さんに向けて話したこと*******

 この子達は、本当に歌がうまいです。

 お父さん、お母さんからもらった声がとてもいいのはもちろんですが、彼らは耳がとてもいいのです。

 ドレミファソラシド、間の半音を合わせて12音ですが、実は、この半音の隙間に数え切れないほどの高さの違う音があります。

ピッチという言葉で表すのですが、この微妙な音の違いを感じ取れなければ、歌は美しくなりません。

この子達は、ピッチを正確に感じ、声で表せます。

 多分人間は、生まれたばかりの時は、みんなこの力を持っているのですが、育つ環境によって力を持続できる子と、失っていく子がいるのです。

 夫婦喧嘩の声など、耳をふさぎたくなる汚れた音を家庭で毎日聞いていたのでは、耳がよくなるはずがありません。

ということは、とてもよい耳を持って12歳まで育ってきた彼らは、ずっと温かな心地よい音の家庭で育ってきたということです。

 あと6年、成長し続ける彼らは、時として心を揺らします。

でも、温かな音と声のあふれる家庭にいれば、絶対に曲がったりしません。

 心の揺れは危ういものですが、揺れるほど、後に豊かな人間性を持った人に育つことが多いものです。

温かな家庭の音に包まれている限り、いくら揺れても大丈夫。

彼らは揺れる心の中からまっすぐな道を選ぶはずです。

 あと6年、絶対夫婦喧嘩はしないでください。

家庭を温かな音で満たしてください。

 毎朝、毎晩、お父さんはお母さんに、お母さんはお父さんに、愛していると言いましょう。

照れている場合ではありません。
子育て最後の6年は、あっという間に過ぎ去ります。

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