強制、弱い強制、自主性
すぐに効く「鉛筆の持ち方を直す薬」は、私も発見していません。
「速効よい子」なのに、すみません。
ひとつのことを身につけさせる時は、強制的に教えるか、自主性が芽生えるのを待つか、どちらかですが、これは、年齢によって違うと、私は考えています。
これまで言ってきたように、4年ごとに区切って子育てを考えると、2歳から6歳までが「強制」、6歳から10歳までが「弱い強制」、11歳以降は、「自主性」が大事だと思います。
6歳までは、いろいろなことが速く身につきます。
この年齢では、親が身につけさせたいと思っていることは、嫌がっても強制的に教えるのが一番よいと思います。
子どものやる気が無くなる前に、身につく場合が多いからです。
何でもかんでも早い時期に教えた方がよいという考えには賛成できませんが、親が考える「正しい振る舞い」については、6歳以前に強制的に教えてしまうのがよいと思います。
強制的にでも、一度身についてしまえば、「それができる」ということは楽しいことですし、その成功体験は、心の成長にもよい影響を与えます。
また、たとえ、その時は楽しいとあまり感じなくても、後で親に感謝したくなることは間違いありません。
逆に、11歳以降は、「強制」は逆効果です。
強制されなくても反抗心が自然に芽生えてくる年齢です。
しかも、「身につける」ということに関しては、6歳までとは比べ物にならないほど、時間がかかるのです。
強制的に、長い時間やらされても、なかなか身につかないし、6歳までとは違って「失敗体験」が心を弱くする恐れもあります。
ここでは、自主性が芽生えるような仕掛けを、お子さんのまわりに仕掛けるのがいちばんです。
ただ、自主性が生まれた時に、そのやり方がわからないと自分で始められないので、一度は、正しい方法を教えておく必要があります。
さて、6歳から10歳は、ちょうど、その中間です。
6歳までと比べたら、身につけるのに時間がかかるし、かといって、自主性というのも自然には生まれません。
そこで、少し長い時間をかけて少しずつ強制するという工夫をするとよいと思います。
例えば、書き取りの宿題が出ていたら、最初の一行だけは正しい持ち方で書かせる、とか、食事のたびに最初の3分だけは正しい持ち方で食べさせるという苦にならない程度の、かといって、こちらが全面的に妥協するわけではないことを、長い期間続けるという方法が考えられます。
「しっかり身につけさせなければ」とだけ考えるのではなく、「普段は変でも、いざという時、自分でしっかりできるくらいに」と考えることで、やらせる方も気持ちが楽になります。
また、失敗例、成功例を、お聞かせいただけると、うれしいです。
みなさんに紹介したいと思います。