鬼の予言者になる

 勉強というのは、ただプログラム通りにまじめにやらされるだけでは、なかなか実力に結びつきません。

どの仕事も同じでしょうが、自ら進んで取り組んだ時に、本当の力に結びつきます。

やる気がむくむくとわいてくれば、もう8割は勉強に成功したようなものです。

 では、どうすれば、やる気が出てくるでしょう。

 5年生になるまでに、都道府県の名前、場所、県庁所在地をはじめとする主な都市の名前が頭の中に入っていると、5年生の社会科では、どんどん力が伸びます。

そこで、「5年生になるまでに都道府県を覚えると、5年生の社会科がすごくできるようになります。」

そう、A君とB君に言ってみます。

  A君は、眼を輝かせて、「よーし、がんばるぞ」と勉強を始めます。

B君は、わかっているけれど、なかなかA君のようには勉強が進みません。

この違いは、経験の差から生まれます。

 A君は、きっと、以前、これと同じようなことをある人から言われ、がんばったらその通りになったという経験を何度かしているのでしょう。

 一度その人に言われたとおりにやったら、うまくいった。だから、次の時も、その人の言うとおりにやった。

そうしたら、またうまくいった。

A君にとって、その人は予言者のように思えたはずです。

 それを繰り返すうちに、「やれば、できる」という言葉が、A君の心の底に住み着き、やがて、それはA君自身の言葉になったのです。

その先は誰からヒントをもらっても、A君の心の奥の方から「やればできる」とう自分の声が聞こえてきて、「やってみよう」という気持ちになったのでしょう。

 B君は、残念ながら、その経験がないのです。

 では、B君はどうすればいいか。

 ここで、お父さん、お母さんの出番です。

ちょっと大変ですが、憎まれ役になる覚悟をもってください。

そして、何かを強制的に、鞭をふるってやらせてください。

そうして、何度か成功経験をさせてください。

 憎まれ役、鬼になるのは苦しいですが、子育てをしていくうち、どこかで鬼にならなければいけないとしたら、ここは鬼になるチャンスです。

 では、どんなことを予言すればよいか。

 それは、お父さん、お母さんが子どもの頃、がんばって成功したことをそのまま伝えれば大丈夫です。

小さな頃、どんなことをがんばりましたか。

お父さん、お母さんの小学生時代を思い出し、たくさん出し合ってみてください。

 お子さんが、それをなかなかやり始めなかったり、途中でやめそうになった時に、「お父さんの小さい時は、もっとがんばったぞ」というのは、絶対禁句です。

ただひたすら、予言者のように、「やれば、できるようになる」と繰り返し唱えるだけにしてください。


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