飛べない蛍
教室での子どもたちへの話***********************************
今日、みんなで観た影絵「飛べない蛍」はどうでしたか。
友情の大切さがわかるよいお話でしたね。
でも、ひとつだけ、変えたい場面があります。
どこか、わかりますか。
それは、飛べない友達の身代わりに、自分が捕まってしまう場面です。
とても感動的に思えますが、ここには困った問題があります。
それは、身代わりになった蛍はもちろん、助けられた飛べない蛍も幸せになれないということです。
自分は友達に助けられた。
でも、その友達は自分の代わりに死んでしまうかもしれない。
もし君が助けられた蛍だったら、君は、「あ〜よかった。僕だけ助かった。」と幸せな気持ちになれますか。
助けてもらったのは、もちろんうれしい。
でも、助けてくれた友達が、そのために不幸になっては、誰も幸せになれません。
例えば、私が友達なら、飛べない蛍の身代わりに自分が捕まるのではなく、こんなふうにします。
まず、灯りを消して、飛べない蛍の所に行きます。
そして、飛べない蛍の灯りを消して、自分の灯りをつけます。
そして、自分が飛び立って、人間の気を引き、飛べない蛍を逃がします。
人間は、地面で光っていた蛍が飛び立って、それを取り逃がしたと勘違いしてあきらめるでしょう。
こうすれば、飛べない蛍も自分も助かります。
いちばん大事なのは、このお話に出てくる蛍たちのように、困っている友達を全力で助けようとする熱い気持ちです。
でも、そのために自分が犠牲になっては、助かった友達も不幸になります。
ですから、熱い気持ちの次に大事なのは、みんなが幸せになれる工夫をする知恵です。
学校で毎日、たくさんの友達と楽しく過ごし、しっかり勉強すれば、熱い気持ちと知恵、この二つを身につけることができます。
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小学校3年生くらいまでは、どの子も、大人の読み聞かせを心から楽しみにしています。
この年齢くらいまでなら、同じ話を2度聞いても、新鮮に受け止めてくれます。
ですから、お父さん、お母さんが大事だと思う話を、物語に乗せて、何度も何度も繰り返し、話して聞かせてやってください。
もし、物語の中に、お父さん、お母さんの考え方と違うことがあったら、その部分は、お話を変えてかまわないと私は思います。
著者の意図を尊重することも大事ですが、それよりも大事なのは、子どもにこれだけは伝えたいという親の熱い気持ちですから。