幸せそうに話す大人
読者の方からのお便り*******************************************
今日お父さんが単身赴任のため、旅立ちます。
娘はさよならを言わなくてもいいように、友達と遊ぼうと計画しました。
しかし友達とは都合があわず、駅までお父さんを送っていくことにしました。
泣きたいのを我慢しつつ、我慢ができなくなった時、改札でくるっと向きをかえて、帰って行ったとのこと。(父親談)
家には泣きながら帰ってきました。
よくがんばったと思います。
ここ数日間のいろんな感情を自分なりにうまくコントロールできたと思い、我が子の成長を自慢しちゃいます。
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子育ての中には、宝石のように、こういうエピソードが眠っています。
今年の入学式は、ほんとうにいいものを見ました。
新入生のある女の子が、入学式の間、ずっと素晴らしい態度でいたのです。
その子は、無理してじっとしていたわけではありません。
面白い話には、にこにこ笑い、来賓紹介の場面では来賓の方を覗くように見、担任発表の時には、どきどきした様子が手に取るようにわかる動きをしていました。
ただ、他の子と違ったのは、ずっと話を聞いている様子だったこと、足がしっかりと床についていたことでした。
たった6年しか生きていない子が、1時間の式を、大人のように、いえ、多分普通の大人でもできないような集中力を発揮し、式に似合った所作をしていました。
中でも素晴らしかったのは、この子の所作が、厳しく躾けられたもののようではなく、自然な動きに見えたことです。
この子のお父さん、お母さんには、まだこの秘密を聞いていないので、今は想像するだけですが、この子のまわりには、落ち着いた大人の会話をする人たちが多いのではないかと思います。
人の話を聞くというのは、とても大事なことですが、一朝一夕にはできないことです。
子どもの周りにいる人たちが、いつも落ち着いて、幸せそうな話をしていると、子どもたちの耳と心は、そちらに集中するようになります。
多分、この子の周りには、そういう大人がたくさんいるのではないかと思います。
そういう内面の力を養うと、出てくる所作も素敵なものになるのでしょう。