自分の名前をはっきりと
クラスに転入生が入りました。
まだ日本に来て間もない男の子です。
日本語は、まだあまりわからないようですが、元気に1週間、学校生活を送っています。
とりあえず、みんなの名前を覚えてもらおうと、朝の「幸せのスピーチ」の時に、毎日、全員、自分の名前を言うことにしました。
そこで、気づいたことがあります。
多くの子が、自分の名前をはっきりと発音できていないのです。
恥ずかしがっているわけではありません。
名前を言った後の幸せのスピーチは、いつも通りはっきりしています。
スピーチをしている本人は、自分の名前の部分だけ滑舌が悪いことに全く気付いていません。
そのことを説明したら、翌日からは、どの子も気を付けて自分の名前を言うようになり、しっかりとした発音に変わりました。
言葉は、変化する「生き物」です。1
000年前は「買ふ」だったのに、今は「買う」のように、労力の少ない方に変化します。「口がサボる」からです。
英語の単語を受験の時にたくさん覚えても、英会話が聞き取れないのは、このことに関係あるかもしれません。
特に、普段の生活の中でよく使う言葉、使い慣れている言葉は、サボりやすいでしょう。
自分の名前は、自分でよく知っている言葉なので、サボっても自分にはよくわかります。
ですから、次第に発音がはっきりしなくなって、初対面の人にはわかりにくい発音になっていくのだと思います。
お子さんは、自分の名前を、初対面の人にもわかるように、しっかり発音していますか。
自分の名前をはっきりと言える人は、さわやかな印象を残します。
言葉に限らず、「自分がわかっていることは相手もよくわかっている」と勘違いしてしまっていることが、もしかしたら、他にもたくさんあるかもしれません。
私も自分の名前を言うたびに、このことを思い出していこうと思います。