ノーハイ貯金
よく学校やPTA、地域で「あいさつ運動」をします。子どもばかりでなく、大人もあいさつができなくなっています。
簡単にできることなのに、できない人が多いのだとしたら、やった人の評価は鰻登りです。
声を出さない人が増えました。
何か自分に不利なことが起こった時には大声で文句を言う人が、普段の生活の中では返事一つしないということは、よくあることです。
銀行、郵便局、病院などの待合いで、番号や名前を呼ばれても、声で応える人は多くありません。
ゾンビの様に立ち上がり、カウンターに向かって歩き出す姿を見ると、ぞっとしたり、悲しくなったりします。
学校生活の中でも同様です。
こちらが何を話しても小さく頷くばかりで返事をしない子はとても多いのです。
それどころか、頷きもしない、話し手であるこちらを見もしない子もいます。
こんな中で、名前を呼ばれたらさわやかに「はい」と返事をすることができる子は、とてもよい印象を持たれます。
もちろん、この力は、学校生活だけでなく、一度身に付けたら、生涯自分を助ける技術になるでしょう。
あいさつができるようにしたいですね、と学校で言われても、家であいさつの練習を続けるのは難しいでしょう。
朝「おはよう」という言葉を交わした後は、家の中で家族同士が「こんにちは」というあいさつをするわけにもいきません。
でも「はい」という返事は、一日中使えます。もしお子さんの返事が気になるようなら、家族全員でがんばって、「はい」を身に付けさせてしまいましょう。
返事をしなさい、と言うのは簡単です。
厳しく言えば、その場では、できるようになります。
でも、それは、生涯を通した技術にはなりません。
大切なのは、それを繰り返すことですが、それ以上に、家族全体が「はい」の雰囲気を持つことが大切なような気がします。
環境が人間を変えるのです。
そこで、ノーハイ貯金というのはいかがでしょう。
「はい」と言わなければならない状況でしっかりできなかったら罰金です。
お父さんでも、お母さんでも、言えなければ罰金を払います。
貯まった罰金は、次の家族旅行の時に使ってください。
子どもが失敗した場合は、罰金を払えません。
子どもはお金を稼いでいないからです。
よく「ぼくはお小遣いをためているので、○○円持っている」などと言っている子どもがいますが、そんな子には、私は「馬鹿なことを言ってはいけない。それは、お父さん、お母さんが稼いだお金で、君のお金など一銭もないのだ」と厳しく言います。
(もし「子どもとお金」に関して困っていることがあったら、お便りをください。)
さて、では子どもの罰金はどうすればいいか、というと、母の日などに作る○○券などは、どうでしょう。
「食器洗い券」とか「洗濯たたみ券」のような家事のお手伝い券ではだめです。
家事は、やって当然のことだからです。
「お母さんの肩もみ券」とか、「お父さんの靴磨き券」など、直接お父さんやお母さんが嬉しくなることは、いかがでしょう。
もし、それも家事のうちとお考えなら、家の前の道路のそうじ、とか、カーブミラー磨きなど、公共の役に立つ仕事を考えてみてください。
こういうゲームは、期限をつけてやると効果が増します。
今日からちょうど1ヶ月。家族みんなで楽しめば、お子さんは、見違えたように輝くことでしょう。