体で示す優しさ
クラスだけの宿題のひとつに、「出された食べ物を全部いただけるようにする」があります。
変な宿題だと思われるかもしれませんが、今年のクラスは、給食を1人前食べられない子がとても多いのです。
1人前食べられない原因は、食べ物の好き嫌いです。
嫌いなものを食べるのが嫌で、ぐずぐずしているうちに時間が来てしまうという状況です。
好き嫌いそのものは、問題ではありません。
味覚が発達していればいるほど、味の違いがわかり、好きなもの、嫌いなものがあって当然です。
好き嫌いがあるということは、もしかしたら、味覚が鋭いので、逆に料理人に向いているのかもしれません。
でも、それと、全部いただく、かどうか、は、別の話です。
「お腹いっぱい食べていただく」ことがお客様へのおもてなしである国では、出された料理を食べ残すことが感謝のしるしを表す行為になります。
しかし、日本では「美味しく食べていただく」ことが、お客様へのおもてなしです。
ですから日本では、全部食べてしまうことが、最高の感謝の気持ちで応える行為です。
道に座り込んでしまっているお年寄りに対して、声をかけたり助けを呼んだりする勇気や機転、抱き上げて病院へ連れて行く筋肉こそが、本当の思いやりや優しさであり、心の中で何を思っていても行動に移せなければ、それは優しさではありません。
同様に、いくら「美味しい」と口にしても、沢山食べ残しては、伝わる感謝の気持ちは半減してしまいます。
ですから、好き嫌いはあってもいいですが、全部食べるという力を持っていることが大事です。
これも、1学期にずっと話し続けたことですから、好き嫌いがあっても食べる練習を4か月してきた子がいます。
でも、1学期最後の給食の日も、まだ、嫌いなものを全部食べない子が、何人もいました。
彼らが、どんな方法で宿題をやってくるか、楽しみにしています。