お食べなさい

 小学生の頃の私は酢豚が嫌いで、その日、時間内に給食を食べ終わることができませんでした。

先生は食べ残すことを許してくれず、その後、一人で食べ続けました。

多くの水といっしょに最後の肉を飲み込んだのは、午後4時。食器を持って給食室に行くと、「全部食べてくれたんだね。ありがとう。うれしいよ。」と調理員さんがにこにこして待っていてくれました。

自校給食のため、調理員である友達のお母さんが、この給食を作っているところを、私たち子供は毎日見ていました。

大変だったけど全部食べてよかったと思ったことを、半世紀以上経った今でも思い出します。

 日本で暮らす外国人の家族が鶏料理をするところをテレビで見ました。

子供を含む家族全員で神様と鶏に感謝の祈りをし、お父さんが鶏をしめ、家族みんなで羽をむしり解体し、調理しました。

幸せそうな食事風景でした。

 子供の食事は誰かが作ったものです。

その材料は私たちが地球よりも重いと思っている「命」です。

食育というのは、いろいろな内容を含むものでしょうが、何よりもまず、その食事を作った人、そして食料となった命への感謝ができる人に育てたいと思っています。

 好き嫌いの多い子供は、毎年クラスにたくさんいます。

どんな指導をするか、お父さんお母さんと話し合います。

家庭によって考え方がいろいろで、私も自分の考えを伝え、折り合いのつく部分で指導します。

 ある時、デザートのプリンか何かを先に食べてしまい、嫌いなおかずを残した子を叱ったら、お母さんからクレームが来ました。

「学校は食べるものの順序にまで口を出すのか。デザートを最後に食べなければいけないきまりであるのか」

 私は以下のように説明しました。

○ 食べ物の順序は決まっていません。

食べてほしい順番を作った人がこだわる時は、懐石料理やフランス料理のように、順番に出てきます。

いっしょにお盆の中に載せられている食事は、どこから食べようと食べる人の自由です。

デザートは最後でなければならないという法律はどこにもありません。

○ でも、今回の息子さんは、デザートを最後に食べるべきです。

デザートに使用されている砂糖と果糖は、吸収が早く、血糖としてすぐに脳に送られるので、満腹信号がいち早く体に行きわたります。

そんなものを先に食べてしまっては、嫌いなものを食べ始める前に満腹感を感じ、ただでさえ食が進まないものを、余計にたくさん残すことになります。

ですから、今回の息子さんに限っては、デザートを先に食べては絶対いけません。

 このお母さんのように、自分の教育方針をしっかりと持ち、学校の考え方と会わない時は、このようにきちんと学校に伝えることは大事なことです。

ご両親で「望遠鏡」と「顕微鏡」で、しっかりとお子さんを見て、その考えを伝えれば、必ず先生は理解し協力してくれるはずです。


 『速効よい子』へ戻る   ホームページ『季節の小箱』へ戻る