家事は身を助ける
お子さんが学校でしているのは、勉強だけではありません。
食事をし、掃除をし、と生活のあらゆることをしています。
担任は、もちろん学習について科目ごとに細かくお子さんを指導しますが、小学校では、それも含めて、トータルでお子さんを把握し指導することが求められます。
そこが中学校や高校との違いです。
小学生は変身します。
算数の勉強をすればするだけ算数の力が伸びます。
しかし、変身というのは、こんな小さな意味ではありません。
人間の脳はまだまだわからないことだらけで、どこをどう刺激すれば能力が伸びるかわからないことが多いのです。
それで小学校の先生は、子どもをトータルにとらえ、指導をしようとしているのです。
中でも、手指の器用さは、脳に大きく影響すると考えられています。
ホムンクルスの想像図というのを見たことありますか。
手指がどれほど脳と繋がっているが一目瞭然です。
ボケ防止のために指体操が流行ったのも、同じ理由です。
子どもに指体操が有効かどうかは、よく知りませんが、わざわざそんなことをしなくても、普段の生活の中で指を動かす場面はたくさんあります。
それをしっかり生かすかどうかは、とても重要です。
といっても、特別難しいことをするわけではありません。
1 お子さんは、服を上手にたためますか。
体育の授業では着替えをします。
てきぱきと上手に服をたたむ子。
時間をかけても上手にしまえない子。
最初からたたむ気がなく、まるめてしまう子。
手指の器用さがはっきり出ます。
お父さん、お母さんがお休みの日には、一緒に洗濯物を取り込み、楽しくおしゃべりをしながら、たたみ方を教えましょう。
2 お子さんは、箸を上手に使えますか。
上手に箸を使って上品に食べる子。
上手に使えず、口に掻き込む子。
こぼしてばかりいる子。
いつまでもスプーンに頼る子。
箸の持ち方は鉛筆の持ち方に通ずるので、大変重要です。
毎日、毎回親子一緒に食事をしていますか。
うるさく思われるのが嫌だからと、箸の持ち方を躾ることから逃げていませんか。
3 お子さんは雑巾を上手にしぼれますか。
私の勤める学校では、毎日、箒と雑巾で昔ながらの掃除をします。
家での掃除とは違うと思いますが、きちんと道具を使って掃除をする練習は、心を綺麗にするばかりでなく、能力を高めるためにとても重要です。
中でも、雑巾を上手にしぼれるかどうかは、最近、子どもの間で大きく差が開いてきています。
上手にしぼれる子ほど、てきぱきと活動します。
てきぱきとした活動は学習の伸びにつながります。
お子さんが雑巾をしぼる場面を見たことがありますか。
1は衣、2は食、3は住です。
家事(お手伝い)は、しつけの面で注目されることが多いのですが、実は、基礎的な手指の器用さを育て、脳の能力を高めるためにとても重要な役割を果たしているのです。
どこかへ出かけて家族の思い出を増やすことも大切ですが、一緒に家事をすることの大切さも、心の隅に入れておいて下さい。
特別な時間を作ろうとするのではなく、生活の小さな場面をひとつひとつ大切にすることで、お子さんはよい方向に向かいます。