みんながしないこと
4年生の体育の授業の後、マットの片付けは楽しそうです。
一枚一枚を御神輿のように担いで、運んでいきます。ほとんどの子が大騒ぎで(でも、まじめに)片付けをしています。
ふと見ると、Aさんがステージの上にいます。
何をしていたかというと、ハバネロでみんなが使ったビブスを、たたみ直していました。
どうやら、みんなのたたみ方が雑で、袋に入りきらなくなっていたようです。
ステージとは逆の方を見ると、Bさんが、フロアを歩きながら、みんなの上着を拾い集めています。
これもハバネロの時に、それぞれのチームの場所に脱ぎ捨てたままの服です。
Bさん曰く「必ず体育館に忘れていく人がいるんだよ。だから、集めてるの。」
片付けをサボる子はいません。
みんなまじめにやっています。でも、ほとんどの子が取り組んだのは、とっても楽しいマットの片付けでした。
その中で、AさんとBさんは、自分が大事だと思うことを一人でやっていました。その内容は、チームとして必要な仕事でした。
その日の帰りの会で、AさんとBさんのしていたことを子ども達に知らせました。
子ども達は、私が説明する前に、その意味を理解してくれたようです。
特殊な力がなければ良い仕事ができない、というわけではありません。
昨日までよりも、ほんの少しだけ視野を広げて周りを見て、すぐに実行に移す。
そのくせが身に付けば、子どもの力は、ぐんぐん伸びます。
視野を広げる力を伸ばすには、ひとつの仕事を少し大きな範囲で見させることが大事です。
お風呂掃除が自分の役割になっている子には、「家族全員が気持ちよく入浴する」という見方でお風呂場の管理をさせたり、「家をいつもきれいに保つ」ことのひとつとしてお風呂掃除があることを意識させたりすると良いでしょう。
食器洗いが自分の役割になっている子には、「食器をいつも使いやすいようにしまったり用意したりする」ことのひとつの作業として洗わせたり、「料理の一過程」として食器洗いという重要な役目がある、ということを意識させるとよいでしょう。
そうすることで、自分のしていることが、ただ単にやらされているのではなく、とても重要なことだと意識するとともに、そこから派生するいろいろなことに興味を持つことができるからです。
手伝いをしているお子さんが、教えていないことに気づいたらほめてください。
視野が広がった証拠です。
子どもに「やる気」さえあれば、子どもの力はどこまでも伸びます。
視野が広がる方向に「やる気」を持たせてやれば、その力は、さらに充実していきます。