スタッフ〜
学習発表会が終わりました。
学級に2つの劇団を作り、一つの脚本で同じ劇をします。
隣りのクラスも同様にしたので、4つの劇団が同じ脚本で30分のミュージカルを演じました。
台詞、ダンスの振り付け等、自由に変えていいと子どもたちに任せたので、ストーリーは同じなのに、それぞれの特色が出て、4つを続けて観ても、ずっと楽しめました。
多くの子どもやお父さん、お母さん、地域の方々に見ていただいて、好評でしたが、意外だったのは、「劇の間中、先生が一切手を貸さないで子どもだけでやっていてすごいですね」と言われたことです。
各クラスに2つの劇団があるので、A劇団がキャストの時は、B劇団のメンバーが裏方のスタッフ、Bがキャストの時はAがスタッフという仕組みで、練習を進めました。
キャストが台詞を間違えたりするのは、自分の失敗を自分で取り戻せばいいのですが、キャストがとても上手に演じている時に、スタッフが失敗したら、劇に関係するすべての人に迷惑をかけ、しかも取り返しがつきません。
音楽係、効果音係、照明係、大道具係がタイミングを間違えたり、忘れてしまったりしては劇が台無しです。
3年生くらいだと、重要な係は先生がやったり、先生がタイミングを現場で指示したりするというイメージがあったようで、驚いてくださった方がたくさんいました。
みなさんにそう言われて、あらためて、スタッフの重要な役を買って出た子の姿を思い出すと、すごいことだなあと思いました。
30分間、黙ってじっと劇に集中し、自分の役目を失敗なくこなしたのです。
もしかしたら、この子達は、家でも「責任ある仕事」を任せてもらえる経験をたくさんしているのではないか、と思います。
キャストは勢いや気合があればやり遂げられますが、こういう裏方をやり遂げる力は、「緊張」とか「責任」という小さな経験を積み重ねなければ、身につかないからです。
今回、音楽係が、音出しを忘れるというミスをしかけましたが、近くにいた子がさっとスイッチに手を伸ばし、多分お客さんにはミスを気づかれない早さでミスは取り戻されました。
ミスした子は、助けてくれた子に向かって、にこっと笑い胸に手を当てました。
今回、私がひそかに、一番感動した場面です。