社長と社員
6年間の学習のまとめに入る時期です。
算数でも、6年間を振り返り、復習をいかに楽しくやるかがポイントになります。
算数の授業は1年間を通して、最初の5分間をドリル練習に当てています。
必要な計算練習などをその時間に行います。
これだけでも力はつくのですが、やる気のある子は、その5分間で成果をだすために、さらにその練習を家でやります。こういう子は本当に伸びます。
いつもは、こちらが、どんなドリル練習をするかを指示しますが、復習の時期に入ったので、「5分間を自由に使いなさい」と指示してありました。
子供たちの様子を見ていると、さっと自分の決めてきたページを開いて始める子と、どこをやろうか考えている子がいます。
それを見て、子供達に話をしました。
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社長と社員とでは、どちらがお金持ちか知ってるよね。
そればかりか、社長には、みんなの好きな自由時間が、社員よりたくさんあるんだよ。
ほとんどの人が、お金と自由がほしいと思っているのに、どうして社長はあんなに少なくて、みんな社員でいるか、わかりますか。
社長は責任が大きいということが大変で、多分、多くの人は、責任を取るということをするのがいやなんだよ。
だから、お金も自由時間もたくさん手に入るとわかっているのに、社長になろうと決意する人が少ないのです。
みんなの好きな「自由」には、必ず「責任」というものがいっしょにくっついてくるんだよ。
人から言われたとおりに動いて生きているだけの人は責任は問われない。
けれど、その人は一生自由になることはありません。
子どもだって同じです。
たとえば、このドリル。
今日からどこをやってもいいよ、自由だと言われて、君はどうしたかな。
今日、見ていたら、ちゃんと自分で計画して、やる場所を決めてきた人と、何も考えてこなかった人がいます。
ちゃんと計画してきた人は、いつもどおり5分間集中してドリルをやって力を伸ばしたけど、考えてこなかった人は、どこをやるのか迷っているだけで5分間過ぎていったね。
先生に言われたとおりの場所をやるなら、自分でどこをやればいいかを考えなくてもいいし、それで成績が伸びなくても、みんな先生のせいにできる。
でも、それに慣れすぎて、ずっとそういう生き方をしていると、自由を手に入れるチャンスがきても、逃してしまうよ。
社長は責任を取るという大変な仕事をするけど、その分、お金も自由時間もたくさん手に入る。
そのうえ、社員でいるよりも、うんとたくさんの人を幸せにできるんだよ。
明日からも、この5分間は自由にします。
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人間にはタイプもあるし、器というものもあると思っています。
ですから、どの子も「社長」をめざすことがいいことだとは思っていません。
でも、責任を持つということができるようになることで、自由が手に入り、多くの人を幸せにできるのだということは、どんなことを生業にしていっても大切なことです。