予算をつけたら
お手伝いに予算をつけるという方法を学級懇談会で話したら、さっそく実行してくれたお母さんがいます。
その後の様子を、そのお母さんから聞きました。
A君は、小さな頃から、ずっと風呂洗いのお手伝いを、兄弟でやってきているそうです。
これまでも、真面目に風呂掃除をしていたそうですが、予算をつけたら、その様子が一変したようです。
どうやら、A君は、お風呂や洗面所の様子に不満を持っていたらしく、予算をもらうと、すぐにお風呂場と洗面所の改革を始めました。
百円ショップで色々なものを調達するなど、毎日のように目をきらきらさせ、お風呂の仕事をしているそうです。
学校から帰ってきて玄関を開けるなり、「ただいま、お風呂の事だけど」と、いきなり話し出すこともあるんですよと、お母さんは笑っていました。
「次はトイレも任せてもらおうかな」とA君自ら言い始めたようです。
これまで、何度か、お手伝いで子どもを育てる方法を書いてきましたが、予算をつけることで仕事が好きになったという報告をいただいたのは初めてです。
すべての子に当てはまるかどうかはわかりませんが、また、試してみてください。
それでは、お手伝いを発展させる方法を、もう一度まとめておきます。
幼稚園から2年生くらいまでは、大人と一緒に仕事をしましょう。
家には「家事」というものがあることを知ることと、正しい技術を身につけることが、この時期は重要です。
3、4年生になったら、場所を任せましょう。
それまでは、作業そのものが仕事でしたが、ここからは、管理することが仕事です。
「お風呂主任」「玄関主任」などと呼んで、その場所を任せたよ、と言ってみてください。
場所を任されるというのは、決められた掃除をするだけでなく、いつでもその場所が綺麗かどうかを気に掛けることです。
仕事というのは、人に指示されてやる作業ばかりでなく、そこに責任を持つということを学べます。
5、6年生になったら、予算をつけてみましょう。
家の大事なお金を預かって仕事をしますので、責任の重さが違ってきます。
責任がある、というのは、同時に、自由がある、ということです。
責任のある自由を仕事として楽しめれば、将来、多くの人を幸せにする仕事をする人になれます。
子育てに、特別な手立ては必要ありません。
お子さんは、日々刻々と育っています。
今、目の前にある全てのことを、子育てに生かしましょう。