あ、本当に切れた
社会科見学で、県埋蔵文化センターにお邪魔しました。
そこでは、本物の「発掘された土器」の欠片をさわらせてくれたり、火起こしなどの体験をさせていただきました。
自分が家から持ってきた野菜の切れ端を、センターの先生が用意してくれた黒曜石の欠片で切る体験もしました。
「切れたかな」と聞くと、子ども達は「石では、なかなか切れません」と答えます。
子どもの手元をのぞき込むと、石の欠片を真上から野菜に押しつけています。
「こうして引いてごらん」と手をそえてやると、きゅうりがすっぱりと切れます。
「あ、本当に切れた」
もし、うまく切れないままで終わってしまったら、「今は切る道具があるけれど、昔は大変だっただろうなあ」という学習で終わります。
もちろん、これだけでも悪くはないのですが、石の欠片で野菜がきれいに切れることがわかったら、「今の道具は、もちろんすごいけれど、昔の人の知恵もすごいなあ。」とさらに思考が深まったり、歴史への興味が深まったりするでしょう。
包丁やナイフを日頃から使っている子は、使ったことのない子より、深い学習ができるのです。
火起こし体験では、火が起きた時、どの子も歓声をあげましたが、日頃からガスの火を使ったりキャンプなどで火起こしを何度も体験している子の「昔の人の工夫に寄せる思いや歴史への関心」は、全く火に触れていない子に比べて、より深かったと思います。
子どもがナイフや火を使う機会は、年々減り続けていることでしょう。
世の中の動きを考えると仕方のないことかもしれません。
ただ、どんな小さな事でも、お子さんが実際に自分の体で経験していることは、必ず、お子さんの後々の学習を深めるということを忘れずにいてほしいと思います。
特別にどこかへ出かけなくても思い出は、たくさん作れます。家の台所で、家の近くの空き地で、お子さんとの素晴らしい時間をお過ごし下さい。
読者の方からのお便り*******************
なんでも便利になった今の世の中ですが、便利な道具に頼らない経験は確かに子供の心に何かを残しますね。自分の力でやれた達成感とか…。
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便利になる、ということは、人間が苦労しなくていい→人間が自分の能力を磨かなくて済む→人間の能力が退化する、ということなんですね。