場所を任せる

読者の方からのお便り************

息子は、時々お料理の手伝いをしてくれます。

ホットケーキやスクランブルエッグなどは火加減が絶妙なのでふんわり膨らんでとても美味しく作ることが出来ます。

今までは、私が後片付けをしていたのですが、夏休みのお手伝いとして1週間だけ昼食の係になるという提案をしてみようかと考えています。

献立を考え、予算内で買い物をし、調理、後片付けをしてもらうのです。後片付け以外はやりたがるでしょうから、上手くいきそうな気がします。

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 これは、素敵な計画です。

単発の仕事をさせるのではなく、ひとつのことをトータルで任せるというところが素晴らしいです。

こういう形にすることで、いろいろなことの仕組みを知ることができるし、責任感も高まります。

お手伝いの効果が普通の何倍も、これから表れると思います。

 さらに、こんなことも付け加えると、充実していくかもしれません。

 それは、「場所を任せる」ということです。

 学校では、毎日15分間、掃除の時間があります。

子どもたちは、とりあえず、15分間掃除をし、教師は、その15分間まじめに掃除に取り組んでいるかを評価してしまいがちです。

それは、それでよいことなのですが、このことが体に染みつくと、やがて「仕事を時間でする」人になってしまいます。

 ○時から○時まで働く(苦労する)。それ以外の時間は遊ぶ(楽しむ)。

こういう労働観もあるでしょうが、これでは人生の中で多くの時間を占める仕事を充実させることはできないし、夢を叶えることもできないでしょう。

 仕事は苦しむ時間を過ごすためにあるのではありません。

仕事は人を幸せにし、自分を幸せにするためにあるのです。

自分の人生の中に「仕事は楽しいもの」として認識できる人が、素敵な人生を送れるのだと思います。

そのためには、何時間仕事をしたかは関係ありません。

もちろん、休みなく働き続けろということではありません。

 私の学級では、1か月同じ場所を掃除します。

15分間の掃除時間を充実させることはもちろんですが、それよりも大事にしてほしいと子どもたちに言っているのは、その掃除場所がいつでも綺麗で、使う人が喜んでくれる状態になっているかどうか気をつけなさい、ということです。

 掃除時間の15分以外の時間に、取り立てて掃除をするわけではありません。

ただ、いつも、その場所に気を付けていて、何か足りないことがあったら、すぐに作業をするという心構えを持たせています。

こうしておくと、自分の掃除場所がきれいだとほめられた場合、その担当の班の子どもは、心からうれしくなり、自分の仕事を誇りに思います。

 これが仕事の喜びです。

 人が進んで取り組むのは好きなことだけです。

うれしくなったら、その仕事が好きになります。

好きになった仕事は進んで行い、いろいろなアイデアもわいてくるので、さらに大きな成功を呼び込みます。

 今回のお便りのお子さんには、「台所専門委員長に任命します。

いつでもピカピカの台所で、美味しいランチを御馳走してください」と言ってみるのはいかがでしょう。

 「お風呂掃除を毎日できてえらかったね。」よりも、「夏休み中、いつでもお風呂がぴかぴかで、あなたは本当にいい仕事ができたね」と言う方が、大人の扱いをされたような気がして、うれしくなることが多いでしょう。

 ゴミ捨てのお手伝い、というよりも、ダストボックスマネージャーと命名して、いつでもゴミ箱がきれいになっているように仕事をしてね、と言うと、仕事に対する認識が変わると思います。

 たくさんの仕事をやらせることよりも、仕事に対してどんな認識を持たせたいかを考えて手伝いをさせることを、少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。

読者の方からのお便り************

「台所専門委員長に任命します。

 いつでもピカピカの台所で、美味しいランチを御馳走してください」

きっと張り切って委員長の仕事を全うするのではないかと思います。

アドバイスいただいてありがとうございました!

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 学校では学級委員任命式を開き、任命書を子どもたちに渡します。

台所専門委員長の任命書もパソコンで簡単にできそうですので、おしゃれな額に入れて、台所に飾るのはいかがでしょう。


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