ナビになれるかな
子どもは、「お客さん」から「スタッフ」になった時に、力を伸ばしていきます。
大人も同じですよね。
職場にしても、地域のことやボランティア、サークル活動に至るまで、「お客様思考」でいつも経営者やリーダーに向かって文句を言うだけの人は、よい活動はできないし、結局は自分のためにもなっていません。
反対に、自分も、経営者やリーダーになったつもりで、いつも全体のことを考えて働ける人は、とても魅力的ですし、苦労した分のキャリアが確実に積まれていきます。
さて、最近の家族旅行を思い出してください。
お子さんは、家族の「お客様」でしたか。
それともツアースタッフとしての仕事がありましたか。
家族旅行は掛け値なしに楽しいものですから、ただ行くだけでも素晴らしい想い出になるでしょう。
でも、自分もそこに参加して何かの役割を果たした旅行は、より深く心に刻まれるはずです。
また、そこでした仕事は、お子さんの自信を深めさせていくのです。
家族旅行は、家族の一員としての仕事を持つ入り口に最適です。
キャンプ等、アウトドアを家族で楽しむ時には、子どもたちにそれぞれの役割を持たせるのは割合簡単ですが、普通の温泉旅行でも、日帰りの遊園地旅行でも、子どもたちに役割を持たせることは可能です。
低学年には自分の管理、中学年には「記録係」、高学年には「ナビゲーター」「会計」などを任せてはどうでしょう。
低学年では、自分の着替えなど、自分の荷物を全部責任を持って扱わせます。
たったこれだけで、自分が大人扱いをされたような気分になる子が多いようです。
一泊以上の旅行では、自分の衣類をしっかりたたむことをさせるだけでも、大きな進歩が見られます。
家族が共通に使うものをひとつ持ては、さらにグレードアップです。
それができたら、自分のチケットは自分一人で買ってみるなど、一人でできることをたくさんさせましょう。
さらに余裕があったら、旅行中のお小遣いを現金でまとめて持たせて、旅行期間中の自分のお金の管理をさせましょう。
中学年では記録係はどうでしょう。
行った先々の地名の記録をするだけでも力がつきます。
初めは、ただ地図を持たせて、行った場所に丸をつけさせるだけでも面白がります。
ガソリン代などを含めた交通費、宿泊代の記録もさせると、子どもの家族旅行に対する目も違ってきます。
日記、写真などどんな方法でもよいので、家族の公式記録をとらせます。
写真だったら、撮るだけでなく、写真をアルバムにまとめさせましょう。
家族の笑顔をたくさん意識して見られる子に育ちます。
「家族全員が写っている写真がたくさんほしい」とリクエストしておくと、いろいろな場所で見知らぬ人にシャッターを押してもらうことになります。
初対面の人に上手にお願いする経験は、お子さんの力を伸ばします。
高学年になると、旅行のある部分や全体のプロデュースを任せることも可能です。
まず、計画の段階から、話し合いに参加させましょう。
ただ行きたいところを勝手に述べるのではなく、予算、時間、家族それぞれの楽しみという条件を考えた意見を言わせてみましょう。
行く場所の地名や名所・旧跡を調べさせたり、半日分のルートを決めさせたりとグレードアップさせていきます。
電車、バスの時刻表とを合わせ見させて、旅行全体のプランが立てられるようになったら、最高です。
旅行中も、簡単なところでは、ドライブのナビ役、鉄道旅行の乗り換えの案内役ができます。
経験をたくさん積んだら、旅行のプロデューサーになってもらいましょう。
また、会計係では、最初、家族が旅行の途中で飲む飲み物代の管理をさせてみましょう。
3日間の旅行なら、3日分の飲み物代を最初から全部預けます。
家族は喉が渇いた時に、その中から飲み物を買ってもらいます。
最後の日まで、上手にバランスよく残しながら使えるでしょうか。
成功したら、おみやげ物代を預けるとか、さらに、全日程の現金の支払いをすべてやらせるとか、グレードアップさせましょう。
隣町の動物園に行くだけでも、子供にとっては楽しい家族旅行です。
楽しい時間に経験したことは必ず子どもの能力アップにつながります。