お土産なんかいらない
お土産なんかいらない、と子どもが持ってきたものをつき返しました。
彼は、家族旅行の時に、クラスのみんなに分けようとお土産を買ってきて、教室で分けようとしたのです。
お父さん、お母さんが苦労して稼いだお金で、何の苦労もしていない君が買ったものはプレゼントなんかじゃない。
これが、彼にお土産を持って帰らせた理由です。
それが、春のできごとです。
夏休みが終わって、彼はまた、家族旅行のお土産を教室に持ってきました。
今度のお土産は、アルバイトの明細書付でした。
アルバイトといっても、小学生ですから、普通に働けたわけではありません。
彼は親戚の家に泊まり、親戚の家の仕事を手伝ってお小遣いをもらってきたのです。
彼から事情を聞いたのでしょう。
親戚の方もアルバイト料として封筒にお小遣いを入れて渡してくれたようです。
今回は彼がみんなにお土産を渡したいという気持ちを4ヶ月も持ち続け、しかも自分で「稼いだ」お金で買ってきた、ということを子どもたちに伝え、彼がみんなにお土産を渡すのを認めました。
お土産はうれしいものです。
遠くに行った時も、その人のことを考えていたという印ですから。
そのプレゼントをしようと相手を思う時間。
そのプレゼントを手に入れるために走り回ったり、お金を稼いだりする時間。
プレゼントをするというのは、自分の時間を相手のために使うということだと思います。
その時間の長さと深さがプレゼントの重さを決めるのではないでしょうか。
今回の彼の行動によって、プレゼントの意味が子どもたちに伝わればいいなあと思いました。