仕事を時間で計らない人になる

 掃除のことで、子どもたちを叱りました。

教室掃除は、箒と雑巾を使ってやるのですが、3本の箒を取り合って喧嘩していたからです。

 箒の取り合いをする理由は簡単です。

雑巾よりも「楽」だからです。

 「楽」を選びたがるということは、十五分という強制労働を、如何に逃れようかという発想からきています。

 どんな仕事も、大変です。

 でも、だからといって、自分の人生の大事な時間を「切り売り」するという感覚しかないのでは、よい仕事はできないし、仕事による人生の発展も、喜びを感じることもできません。

 南の島で一生遊んで暮らせるのなら、それでもいいのですが、日本人のほとんどは仕事をすることで生きていきます。

ですから、仕事をすることが喜びの一つでなければ、人生の多くの時間を「つまらなく」生きてしまうのです。

 掃除については、6年生に、こんな風に話しています。

 「この十五分は、強制労働の時間ではない。

どうすれば自分の担当の場所の美しさが維持されるのか工夫をする時間であり、その工夫が、これからの人生を助けるものになる。

黙って言われたとおりの掃除をするのも悪いわけではないが、このクラスでは、たとえ十五分で決められたことが終わらなくても、毎日、どう工夫してやったかが重要だと考えてほしい」

 真面目に仕事をすることは大事なことです。

 ただ、「真面目」という言葉を、「言われたことを素直に黙々とやる」と訳してはいけません。

 その目的に対して「真面目」であることが重要で、例えば掃除なら、上手にできなくても「綺麗にするために一所懸命考えて動いた」ことを評価してやれば、将来、仕事をする時に仕事を人生の一部として大事に生かすことのできる人になるのだと思います。

 お子さんの大掃除の様子は、いかがでしたか。


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