先生の取扱説明書
新学期始業式の後、学年集会を行いました。
この日の集会は、先生の自己紹介です。
私は、「こわい先生」として、この学年の子ども達にも知れ渡っています。
「こわい先生」をやめるつもりはありませんが、一年中こわがっているのでは可哀想なので、「今日は、私の取扱説明書について話します」と言いました。
「取扱説明書」と聞いて、どっと笑った子がたくさんいました。
これだけでも、この子達は、「聞いて理解する能力」が高いのだとわかります。
さて、取扱説明書の中味です。
「私は、いつも怒っているように思われていますが、実は、叱られているのは、二つの約束が守れない子だけで、それ以外の子は、叱られません。
私は世界一やさしいのです。
約束の一つ目は、人も自分も幸せになる、です。
周りの人を不幸にして自分だけ幸せになろうとしている人は、心のない人です。
逆に、自分を犠牲にして人を幸せにしようとする人もだめです。
誰かが犠牲になった幸せを手にしても、その幸せを手にした人は、心から喜べないからです。
約束の二つ目は、誰が見ていても同じことをする、です。
これができないと、自分を応援してくれる人がいなくなります。
応援してくれる人がいないと、人生が寂しくなるばかりでなく、自分の夢を叶えることができなくなります。
何かを失敗したら怒られると心配している人がいるかもしれませんが、その心配はありません。
挑戦して失敗するのはとてもよいことだからです。
大事なのは、成功するか失敗するか、ということではなく、自分から始めているか、ということです。
自分から進んで行動したら、失敗しても大丈夫です。
ですから、
人も自分も幸せになる
誰が見ていても同じことをする
自分から始める
を覚えて、安心して一年間頑張ってください。」
「叱る、褒める大人」と、「叱られる、褒められる子ども」が、その理由を、予め共通して理解していることが重要です。
何を基準に叱ったり、褒めたりすればいいのかと、聞かれることもありますが、生きていく基準は、生きている人の数だけあります。
お父さん、お母さんも、これまで幸せな人生を送ってきたのですから、どうして幸せになれたかを思い出せば、基準は自ずから決まってきます。
幸せに生きてきたことに自信を持って、叱ったり褒めたりしてください。
この子たちの卒業文集に「こうじ先生は嘘つきだ。2つの約束を守っていれば怒らないと言ったのに、いつも怒っていた」と書かれていました。