ルールを守る
6年生が体育館で体育を終えた後、教室への帰り道のルールを破って、ぞろぞろ歩いている所を見つかり、他のクラスの先生に叱られました。
ルールでは、体育館にいちばん近い階段を上って、3階の廊下を通って教室に戻らなければいけないのに、6年生は1階の廊下を通って教室近くの階段を上ろうとしたのです。
このルールを読んで、どう思われましたか。
どうでもよいことのように思えたのではないでしょうか。
6年生も多分、そんな感じで、そのルールがあることを知っていながら、気にかけていなかったのだと思います。
教室に戻ってきた子ども達に、「このルールがある理由を知っているか」と聞いたところ、すぐに答えられる子はいませんでした。
ヒントを与えると、やっと一人の子が気づきました。
子ども達がルールを破って通った1階には、保健室があるのです。
保健室の前を通ってはいけない、のではありません。
何十人もの人間が1度に通ると、具合が悪くて保健室で休んでいる子や、怪我をして保健室に急いで来なければ行けない子の邪魔になるので、集団で動く時には、このルートは避けようというルールなのです。
この理由が分かれば、6年生はこれから、このルールを守ろうとするでしょう。
ただ、小学生の難しいところは、入学したての1年生に、この理由を教えても、なかなか理解できない、ということです。
ですから、まずは、1年生にルールを強制します。
「廊下は静かに右側を歩きましょう」「室内では帽子をとりましょう」…
でも、成長の過程のどこかで、そのルールには理由があることを教えなければ、闇雲にルールに縛られる人になったり、逆に「ルールは破られるためにある」などという子になるおそれがあります。
ルールというのは、人間が人間の都合で作るものです。
ですから、そのほとんどに普遍性はありません。
その場に必要だからルールを作るのであって、場所や場合が違えば、ルールは違うものになります。
だからといって、ルールは破ってはいけません。
破ることによって不幸になる人がいるからです。
そのルールは、なぜ存在するのか理由を考える。
理由に納得できたら、きちんと遵守する。
もし、そのルールがおかしいと思ったら、ルールを変える提案をする。
そういう人に育ってほしいと、いつも思っています。