今、着ている服
学校の廊下には、子どもたちの自作のポスターがたくさん貼ってあります。
主に、高学年の委員会活動のポスターで、保健委員会が「うがい、手洗いをしましょう」、生活委員会が「気持ちのよいあいさつをしましょう」といった具合です。
先日、図書委員会のポスターの言葉が気になったので、学級の図書委員を呼んで、「この言葉は、よいと思えない」と言うと、学級の図書委員たちは、「これは私たちではありません。隣のクラスの○○君が書きました」と答えました。
そこで、私は、「このポスターは、図書委員会が出したポスターで、君たちは図書委員会なんだよ。君たちは今、図書委員という服を来て、このポスターを見ていますか」と言いました。
子どもたちは、すぐに意味をわかってくれて、「何とかします」と答えました。
子どもたちは、居場所によって立場が変わります。
5年生は、家に戻れば末っ子でも、学校に来ると、高学年のお兄さん、お姉さんです。
廊下での歩き方、過ごし方に問題があると、子どもたちには、「今、どんな服を着ているか(どんな名札をつけているか)」と質問します。
「教室の中では裸でもいいけれど、廊下へ出て、下級生のいるところに行ったら、高学年という服を着なさい」と教えているからです。
下級生のいる登下校時や廊下で、高学年の服を着て歩くという意識を持って行動することができれば、下級生から慕われる人になれます。
子どもたちは、高学年という服以外にも、いろいろな服を着なければなりません。
ご近所の人と接する時には、家の名字を大きく書いた服を着ることもあるでしょう。
学校代表になった時や、他の学校の人と何かをする時には、○○小学校という服を着ます。
町の名前を書いた服を着なければいけない場合も出てきます。
海外に行った時は、日本という服を着ることもあるでしょう。
自分は、いろいろな服を着ることができると理解できてくると、自然に視野も広がっていきます。
今、どんな服を着ているか、ちょっと意識させてみるのも、いいかもしれません。
時には、すべてを脱いで、のびのびする時間、場所も必要ですけれど。