理由を一つにして叱る
 廊下で騒いでいる6年生を叱りました。
 騒ぐといっても、楽しそうに、少しだけ追いかけっこをしていただけです。
 廊下で騒いではいけない、というのは、大人にとっては、ごく普通のルールです。
 騒いではいけない理由は、他の教室の迷惑になる、歩いている人たちに危険が及ぶ、など、改めて並べてみると、いろいろ出てきます。
 うっかりすると、お説教の中に、この様々な理由を延々と並べてしまうことがありますが、それは、あまり意味がありません。
 6年生ともなれば、騒いではいけない理由の一つや二つは言えるくらいの年齢で、騒いではいけないことは分かっているのに、ついやってしまったのです。
 今回、私が叱った理由は一つだけです。
 「ここは、下級生が通る。
ここを通った下級生が君たちを見て、6年生全員が馬鹿だと思ってもいいのか。
君たちがおかしなことをするところを下級生が見れば6年生は尊敬されないし、逆に、君たちが良いところを見せれば、下級生は6年生に憧れ、真似をする。
教室から一歩出たら、君たちは6年生と大きく書いた服を着ているのだ。
楽しく騒ぎたかったら、6年生の服が脱げる教室に行きなさい」
 (「悪いことは隠れてしなさい」ということではありません。)
 叱られるのは、誰だって嫌なので、叱られている時間は短い方がいいに決まっています。
 また、人間の脳は、嫌なことは自然に耳に入らないようにできているので、廊下で騒いではいけない理由を並べ立てても、頭には入りません。
大人が偉そうに並べ立てている理由など、とっくにわかっているものです。
 特に、10歳以上の子どもを叱る時には、叱る方の理由が曖昧だったり、大まかだったりしては、叱られた方も、自分を正そうとする意欲が半減します。
 叱られた理由を明確にしてもらうことで、叱られた方は、自分を正す方向を定めることができるので、たとえ叱られたことで感情が揺れても、次にやるべきことがはっきりし、自分を正そうと決心した時に初めの一歩を進めやすいのです。
 叱らなければならない状況にぶつかったら、まず、理由を一つにし、どんな文脈で話をまとめるかを頭の中でシミュレーションしてから、話し出しましょう。
読者の方からのお便り***********
効果のある叱り方って重要ですね♪
ぐだぐだ長かったり、ただ怖いだけだったり、子供らは反射的にバリアを張るだけになってしまいがちです
ね。
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 叱り方についての本は、たくさん出ていますが、叱らなくてもよくなる本は、なかなか見つかりませんね。