許可します

 学校で、友達の名前は呼び捨てにせず「○○さん」と呼びましょうと指導することがあります。

呼び捨てが習慣化していると、「呼び捨てはいけません」と禁止しても、すぐに100パーセント、呼び捨てがなくなることはありません。

 「校長先生が、呼び捨てはいけません、とおっしゃいましたが、愛し合っている恋人同士には、それではちょっと寂しいな、と思えるかもしれません。そこで、このクラスだけは、恋人同士に限って、呼び捨てを許可します。」

 こんなふうに言ってみました。

 子どもたちは、すぐに、反応しました。

楽しそうに、「あ、まずい。呼び捨てにしちゃった」と自分の言葉遣いを見つめなおします。

 私の経験では、この方法は、3年生以上なら必ず、効きます。

 人間は、誰も、「禁止」が嫌いです。

やってはいけない、と言われると、反発する気持ちが心の中にわいてくる人が、必ずいます。

 逆に、「許可します」「自由にしてください」と言われると、自分を振り返らざるを得なくなります。

日本人は「許可します」が好きかもしれません。

日本人も、いつか、本当の意味の「自由」を求めることができるように、なるといいなあと思います。

 廊下を静かに歩かせるために、「うんちが少し漏れてしまった人だけ、走るのを許可します」というアイデアも思い浮かびましたが、ちょっと品がなさすぎるので、使っていません。

 家の中で、やめさせたいことを「許可します」に変えられることはありますか。


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