道を譲る

 学校に入ると、学校のきまり、というのがたくさんあって、それを大変だと思う子も少なくありません。

でも、それぞれのきまりには、もちろん理由があります。

 たとえば、「ろうかは右側を歩く」

 お子さんの通う学校にも、このルールはありますか。

 日本は交通ルールで、歩行者が右側、ですから、それにならっているのですが、ここで育ってほしいのは、交通ルールを覚えることでも、右と左を区別することでもありません。

子どもたちに身につけてほしいのは、「相手に道を譲る」という心です。

往来はみんなのもの、だから、必ず半分を対向者のために空けておく、という気持ちです。

 教師も、うっかりするとこれを忘れてしまいがちで、「右側」がとても重要なことだと勘違いしてしまうことがあります。

重要なのは、「右」ではなく、あくまでも道を譲るやさしい心です。

 「道を譲る」という精神は、何歳で身につくのでしょう。

 小学校では高学年でも「廊下の右側を歩く」というルールを守らせるのは難しいことが多いのですが、「道を譲る」という心は、ていねいに教えれば、6歳の子でも理解できるのではないかと、最近、思うようになりました。

 自分が道をゆずった相手が、それに感謝して、また別の人に道を譲る。

それがずっと続いていけば、巡り巡って、自分が一番急ぎたい時に、向こうから来た人が道を譲ってくれる。

そんなことを想像しながら、目の前の人に道を譲ると、楽しくなります。


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