じゃんけんに勝った人がやる
教室でも、よくじゃんけんすることがあります。毎日やっているのが、分け余った給食をおかわりする順番を決めるじゃんけんです。
欠席者がいて、牛乳が余る夏の日のじゃんけんは、真剣そのものです。
もちろん、勝った人が、それを手に入れることができます。
しかし、放っておくと、子どもたちは、時々、じゃんけんをして負けた順に決定していこうとします。
例えば、音楽の授業のグループ発表。
最初に発表するのが嫌なので、勝った順に、順番を選べるとか、負けた順に発表しようとします。
一番勝ったグループが「最初に発表したい」というのは、稀です。
ひどい時には、負けた人が学級委員をやるなどということも起こります。
これを許したら、「学級委員になった人は損をする」というイメージを持ったまま大人になります。
大きな仕事を、苦労してすればするほど、人間は大きくなる、ということを知らずに大人になっていまうのです。
私のクラスは、どんなじゃんけんでも、すべて「勝ったもの順」です。
じゃんけんで勝つのは、運が良い証拠です。
負けた者からやっていく、というのは、勝つことで逃げる権利を得たということになります。
せっかく運がいいのに、その運を「逃げる」ことに使うのは、もったいないことです。
逃げることで危険を回避することはできますが、そこからは何も新しいものは生まれません。
せっかく「じゃんけんで勝つという幸運」をもっているのですから、その幸運は、「挑戦し新しいものを生み出す(新しい自分になる)」ことに使ってほしいものです。
こんなことをすることによって、今すぐ、子どもたちの何かが変わるわけではありません。
しかし、小さな頃、繰り返したことは、心の基盤になります。
じゃんけんで勝った→自分は運がいい→だから今こそ新しいものに挑戦しよう。こんな心のスパイラルが出来上がれば、人生は、いつも新しく高いレベルの方向に開けていくと思います。
お家でも、じゃんけんをしたら、「とにかく勝った者から、それをする」と決めてみませんか。