いっしょにやったら 

 夏休み前の保護者面談で、3年生A君のお母さんから、とてもよいお話を聞きました。

 春の家庭訪問の時、A君のお母さんから

「今まで、忘れ物をしないように翌日の持ち物をいっしょに用意していたけれど、これを続けるといつまでも人に頼る子になってしまうような気もします。3年生になったから、一人でできるように、手伝わないことにしたほうがいいでしょうか」

と聞かれました。

 私は「子どもが嫌がるまで手をかけてやった方がいいですよ。あふれてこぼれるほど愛情をふりかけられた子が、よい子になります」と答えました。

 A君のお母さんは、それからも毎日いっしょに「明日のしたく」をA君と続けました。

 明日の支度をしながら、ノートなどを見て、「今日はこんな勉強をしたんだねえ」という話をしていると、A君は「ここはわかったけど、ここはわからなかったんだよ」と話すようになったそうです。

 そのうち、A君は「わからないところを教えてほしい」というようになり、自分から進んで教わったり勉強したりするようになったようです。

 高学年では「予定帳で勉強する」ことを勧めていますが、3年生くらいであの話をそのまま当てはめるのは難しいので、どうしようかと考えていました。

A君のお母さんのお話が、その答えのひとつを教えてくれました。

 読書好きになるためには、まず、読み聞かせが必要なように、「予定帳で勉強する」のも、その前段階に「いっしょに明日のしたくをする」が必要だったんですね。

 子どもが嫌がるようになる日、もしくは、親がへとへとになる日まで、こぼれるくらい愛を注いでください。


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