愛されている
忘れ物をした日、家に帰り、「お前のせいで忘れ物をした。どうしてくれる」と母親に向かって言った小学生がいます。
赤ちゃんは、生きているだけで、人を幸せにします。
だから、赤ちゃんは、みんなから愛されます。
愛という言葉は知らなくても、赤ちゃんはだっこされたり、ミルクをもらったり、話しかけてもらったりすることで、愛されている実感を持つことができていることでしょう。
でも、言葉を話し始めた幼児は、もうすでに万人から愛される能力はありません。
親はいつまでも子どもがかわいいのですが、他人はそんなふうには思いません。
言葉はナイフと同じで、素敵な道具にもなるし人を傷つけることもできるからです。
言葉を覚え始めた子どもには、言葉を教えるのと同時に、人を愛することを教えなければいけません。
愛することのできる人間だけが、愛されるからです。
愛することを教える、といっても特別なことをするわけではありません。
お父さん、お母さんが、周りの人にいつも感謝しているところを見せてあげればいいのです。
親切にしてくれる人、見守ってくれる人はもちろん、かかわりがないように見える人にまで、お父さん、お母さんがやさしく接していれば、子どもは自然に愛する方法を身につけます。
人間というのは、本当に多くの人に支えられて生きていて、かかわりがないように見える人も、自分の人生に重要なかかわりを持ってくれていることが多いのです。
「お前のせいで忘れ物をした。どうしてくれる」と母親に向かって言った小学生は、人を愛することを知らずに育ってしまいました。
自分は何もしなくても愛されつづけると錯覚しています。
早く修正してやらないと、この子は、一生、親以外の誰からも心の底から愛されることなく、幸せを感じないで生きることになるでしょう。
第二次性徴前なら、心は簡単に方向を変えてやることができます。