どこに属しているか

 6年生を担任している時、4年生のお母さんから手紙をもらいました。

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 先日、うちの子が、下校途中に6年生(私の担任している学年です)数人にかこまれて、意地悪をされたと言って帰ってきました。

すぐに、その6年生を探しに行きましたが、見つかりませんでした。

 近くにいた知り合いの6年生A君にそのことを話すと、A君は、「え?、6年生がそんなことをしたのですか。

もし、今度、そういうことを見かけたら、僕が止めます」と言ってくれました。とても感激したので、お知らせします。

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 この話を帰りの会で聞いたクラスの子ども達は、歓声をあげていました。

 A君がこう答えたのは、A君の心の中に、自分は「6年生というチーム」の一員であるという気持ちがあったのだろうと思います。

 自分が今、どこに属しているかという意識は、その人の言動を左右します。

「自分」という小さな世界にしか属していない人は、「自分」の都合でしか話さないし、行動しません。

「世界」「地球」「人類」などの世界に属している人は、その広い目で話したり、行動したりするでしょう。

 生まれたばかりの人間は、みな「自分」に所属する人です。

それが、成長するにつれて、いろいろな経験を積み、心を育て、より大きなチームに所属していることを自覚していきます。

そして、大きく広い視点で、ものを見て、考える力は、やさしい心を育みます。

 何歳までに、どの程度の大きさのチームを意識できればいいかは、一概に言えません。

でも、小学校を卒業しても「自分」しか見えない人間では困る、と私は思っています。

 クラスの子ども達も、そういうことを意識しているから、A君の行動に歓声を上げたのだと思います。

 「この子は、どのくらいの大きさの世界を意識しているのだろう。」

そんなことを少し考えながら、お子さんの言葉に耳を傾けると、お子さんの思わぬ成長を感じられるかもしれません。

読者の方からのお便り******************

大人でも仲間意識が強いことってありますね。

それ自体はチームプレーでいいと思うんですが、4,5人の仲間だったり、地元がどうのと小さい枠の中だけで完結して、その他を認めないって結構あります。

自分はそういうのが苦手ですが、チームだからこそ頑張れたり浄化できたりすることもあるというのは、あまり気づきませんでした。友達や仲間やいろんな方のおかげでという個人同士の関係はわかっていましたが、チームのおかげという考え方はとても新鮮でした。

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 仲間という言葉は、よい時もありますが、もともと排他的な意味も持っているので、気をつけたいといつも思っています。

 子ども達には、チームで固まる、ではなく、チームを代表する心意気を持ってほしいと思います。


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