小学生だって大きな仕事をする

 卒業式の前には、「6年生ありがとう集会」という全校児童集会があります。

「6年生を送る会」とか「卒業をお祝いする会」というような名称で、多くの小学校で行われていると思います。

各学年が趣向をこらし、会場を飾り付け、歌を歌ってくれたり、プレゼントをくれたりします。

 6年生はこんなところが素晴らしい、と、いくつもお褒めの言葉を下級生からもらって、6年生も感激の涙を流したりしています。

今年、私がいちばん、ぐっと来たのは、全校生徒が力を合わせて作ってくれたペン立てを、6年生の代表が、1年生の代表からもらう時です。

 1年生の先生が、6年生代表にAさんを選んでくれました。

 Aさんのペアの1年生Bさんは、入学当初、学校に来るのが嫌で、なかなか教室に入れませんでした。

でも、先生方の指導のおかげで、今では、元気に登校しています。

 「Bさんが今、元気に登校できているのは、ペアのAさんが親身になってBさんのお世話をしてくれたから」

そう言って、1年生の先生が、プレゼントの代表を「BさんからAさんへ」と決めてくれたのです。

 私から見ても、4月5月のAさんの、Bさんを思う気持ちは、とても立派でした。

どうすればBさんが楽しく学校に来られるかを毎日毎日考え、休み時間のたびに、1年生の教室に行っては、Bさんが元気でいるか確かめていました。

自分がAさんの立場だったら、そこまでできないだろうと感じ、私はAさんを心から尊敬しました。

 Bさんが元気に学校に来られるようになったのは、Aさんの力だけではありませんが、Aさんの努力は、Bさんの人生にとって、とても大きなものになっていくはずです。

12才のAさんがした仕事は、本当に大きな仕事です。

 卒業式、思い出や希望を一人一人語ることになっているのですが、Aさんは、こんなことを言いました。

 「自分も1年生の時に教室に入るのが怖かった。でも先生方やペアの6年生がやさしくしてくれたから、教室に行くことができた。

だから、私もBさんのために、そうしてやりたかった。」

読者の方の感想*********************

「小学生だって大きな仕事をする」本当にそうですね。

子どもたちって、本当に真面目で真摯だと思います。その真摯さが大きな仕事をするんですね。

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 大人の物差しに当てはめると、とても大人ではできないことを、子ども達はやりとげます。


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