きれいな教室
最近、教室がとてもきれいです。
ごみなどが落ちていることも少なくなり、置いてある物の整頓も乱れなくなりました。
朝、教室に入ると、教室はもちろん、廊下の窓も教室前のトイレの窓もしっかりあけてあり、放課後は、戸締りがしっかりしてあり、カーテンもきちんと結ばれています。
子どもたちの様子を見ていると、子どもたちのうちの何人かが、係活動などで、いつも教室の様子に気を配っていてくれるのがわかります。
配ってくれる「気」が、教室に漂い、張り巡らされ、教室がきれいになっていっているのです。
残念ながら、子ども全員が、教室のことに気を配れるようになったわけではありません。子どもたちの成長には、もちろん、差があるからです。
でも、教室全体の様子が変わる、というのは、全員が、その子なりの成長をしていなければ、実現できないことでしょう。
今まで、自分のことがきちんとできていた子が教室全体のことに気を配れるようになり、今まで、自分の持ち物の整頓がうまくできなかった子が、自分の持ち物の整頓ができるようになり、今まで、消しゴムのかすを無意識のうちに床に落としていた子が、落とさずにゴミ箱に捨てに行くようになる。
こんなふうに、一人ひとりが、それぞれの進化を遂げた結果が、最近の教室の姿として表れているのだと、私には思えます。
自分の荷物の整頓ができていた子が、教室全体のことに気を配れるようになる。
これは、大きな進化です。自分のことだけでなく、まわりのことが見えるくらい心が広がったのです。
自分の持ち物の整頓ができなかった子が、できるようになる。
これも、立派な心の広がりです。
まわりに迷惑をかけないようにしようと思ったのかもしれないし、自分の使っているものやそれを買ってくれたお父さん、お母さんに感謝の心を持ったのかもしれません。
いずれにせよ、自分しか見えなかった心の目が、もっと広いものをとらえたのです。
目の前の困っている人を助けられるやさしさはレベル1、
授業をやっている教室の前を静かに歩くのは、壁の向こうの人たちを想像する心の目の視野の広さがあるから、やさしさレベル2、
使ったスリッパをきちんとそろえてトイレを出るのは、いつかそのスリッパを使う人のことが見えるくらい心の目の視野が広がったやさしさレベル3、です。
1年前のお子さんの様子と、今の様子を、よく比べてご覧ください。
ちょっとしたことの中に、心の目の視野が広がっているのがわかる行動、仕草があるはずです。
大事なことを教えれば、子どもは必ず進化します。
それを見つけることができるから、親も教師も毎日幸せになれるんですね。