真実は多面体
毎年、担任する子の中に、心から尊敬できる子が何人もいます。そういう子に出会うとほんとうに感動します。
誰が見ていてもいなくても、いつでもまじめに掃除をする子。
どんなに自分の仕事が忙しくても、友達の手伝いを先にしてしまう子。
どんな場面でも、いつも笑顔の子。
とても私にはまねできないことばかりです。
特別な学習の力とか、運動能力ではなく、人間としてこうありたいと思えることが、もう体に染み付いているように生きている子にたくさん出会います。
なぜ、たった10年ほどで、そんなふうに育つことができたのかは、まだ解明できません。
でも、必ず毎年、そういう子どもたちと出会います。
不思議なことに、そういう子の多くが、「そんなこと、初めて言われた。」と言います。
今まで褒められたことはもちろんあるけれど、その点でほめられたことはないというのです。
物事というのは、見る人の立場によって、正悪さえ逆に見えたりします。
真実はひとつでも、それは、見る人の立つ位置が違えば、違うものに見える多面体のようなものです。
ましてや、一人の人間は、もともといろいろな側面を持っています。
ですから、子どもは、まわりの人が、いろいろな面から見てやることによって、魅力や能力がはっきりし、本人もそれに気づき、やる気が出たりするのでしょう。
それを見つけた大人も、見つけた人自身がうれしくなってしまうものです。
お子さんは、新年の誓いとか、目標を持ちましたか。新年の目標を真剣に考えたということは、さらに進化した違う自分になろうという意欲にあふれている、ということです。
まわりの大人が、子どもの違う面を見つけてやることが、その意欲を支援します。
お子さんを改めて新しい眼で見てやることも大事だし、お父さん、お母さんが新しい友達を作って、その人たちからお子さんを見てもらうことも大事です。
幸せは人の手を介してやってきます。そして、幸せになったお子さんの笑顔が、世界を幸せにします。