神様、あにき、先輩、友達
4年ごとの節目の一つである10歳頃になると、2度目の反抗期が、ちらほら芽生えてきます。
「最近、親の言うことを聞かなくなった」というご相談も、5年生くらいのお父さん、お母さんからが多いようです。
反抗期を迎えるのは、子どもが成長している証ですので、悪いことではありませんが、日々の生活の中では、困ることも出てきますね。
その対処法として、いちばんいいのは、子どもの節目に合わせて、親も変わってしまうことです。
10歳頃までは、子どもたちは「自分の」価値観を持ちません。
周りにいる大人の価値観が、子どもの価値観です。
子どもは親の価値観という眼鏡を通して、世界を見ているのです。
言わば、親は神様と同様です。
「神様」は慈悲深い存在で、大きな愛で子ども達を包みます。
でも、神様はとても厳しいところもあります。
ルールを守れない時は、びしっと叱ります。
10歳までの子どもには、よいことと悪いことをきちんと区別することを覚えさせなければいけません。
温かな愛と有無を言わせない厳しい愛を併せ持つことが、10歳までの親には必要です。
減らず口をたたくこともあるでしょうが、最終的には、子どもは親の判断にしたがって生きています。
こうした、子どもが親の言うことを聞く時期は、楽なように思えますが、実は、この10年間が、親にとって最も大変な時期です。
子どもは「神様の言うとおり」にするので、神様が間違っていたら、子どもは間違った人生を歩んでしまうからです。
子どもの人生を本気で考えたら、この10年間、親は自分の言動に細心の注意を払うべきです。
10歳を越えると、親を批判する力も、子どもの中に生まれます。
この時に、「これまで良い子だったのに、どうして…」と悩まれるお父さん、お母さんが多いようです。
自分の価値観ができ始めれば、相手を批判する能力も芽生えて当然ですから、これは、正常な成長です。
子どもが変わったのですから、親も変わればいいだけの話です。
お父さん、お母さんは、「神様」から「あにき」に変わってください。
「あにき」も、基本的には神様同様「黙って俺についてこい」です。
神様みたいに、優しく怖い存在ですが、神様とちょっとだけ違うのは、「絶対」ではないところです。
「あにき」の言うこと、やることは、基本的には正しい。
でも、もっとこうすればいいのではないか、たとえあにきといえど、このやり方はベストじゃないんじゃないか…。
11歳から14歳までは、こんな大人が近くにいることが必要です。
この4年間で、自由とか責任ということに少しずつ目覚めていく子は、将来、自分の人生に責任を持ち、人生を自分で切り開いていこうとする人間になります。
少しは批判や反抗もしますが、最後はやはり、子どもは親を頼りにしています。
14歳から18歳からは「憧れの先輩」になってください。
その頃には、100%人に導いてもらうのではなく、自ら坂道を登ろうとする気概を持ち始めなければいけません。
「あこがれの先輩」は、「神様」や「あにき」のように、いつも子どもの方を見ているわけではありません。
子どもは、「先輩」の背中にあこがれ、先輩のレベルに近づきたい、そしていつか、先輩を超えてみたいと思います。
お父さん、お母さんも若い頃、学校などの先輩に対して、同じような感情を持っていませんでしたか。
最後に、子どもが経済的に独立したら、「友達」の立場に立って付き合おうと考えれば、親も子も気持ちも楽になります。
孫が生まれるころには、「せんぱ〜い」などと頼ってくるかもしれませんが(笑)。
こんなふうに、子どもの成長に合わせて親も変われば、心も体も楽になってきます。
では、小学校に入る前はどうでしょう。
「神様」になる前は、「親ばか」でいるのが、いちばんいいと思います。
乳歯の1本目が抜ける日までは、べたべたの親ばかでいてください。
お子さんが嫌がっても、遠慮なくべたべたしましょう。